やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE1 全ボート転覆事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

 

【FILE1 全ボート転覆事件】

人生に失敗やトラブルはつきもの、そして人は経験を積むことで学び、よりよい選択を選べるようになります。それはボートレースも同じこと、過去の出来事を知ることで未来への備えとなります。さぁ、みなさんもこのコーナーで私と一緒にボートレースにまつわる事件を学んでいきましょう。

 

ボートレースは不安定な水面を高速で6艇が走り0.01秒を争う競技、その性質上訓練された選手と言えどもアクシデントは起こるものです。波の影響や他艇との接触で落水や転覆といったことも起こりますが、もし全艇が転覆失格したらどうなるのでしょうか。そう思って競技規定を調べようとすると、そもそも全艇転覆失格が実際に起こっていることがわかりました。

 

誰一人ゴールにたどり着けずに全滅するなどまるで映画『マッドマックス』、全選手がモヒカンヘアーでヒャッハーと奇声を上げながらレースをしていた可能性も考慮せねばなりません。もしくはファミコンくにおくんシリーズの『熱血行進曲』からクロスカントリー形式が採用され、不良たちが殴り合いながらレースをしていた可能性も捨てきれません、あれも水中でハメられると全滅するし……

 

 

■怒りのデスボート

実際のところどういう状況だったのでしょう、それは2009年1月31日、常滑レース場一般戦3Rで起こりました。スタート後の1ターンを回ったところで依然混戦状態という稀に見る白熱したレース、先行する艇に猛烈な勢いで後続艇が迫り、観客の誰しもが熱戦に興奮、接戦状態で2ターンに突入、さぁ2周目に抜け出すのはどの選手だ!!

 

……しかし2周目に入るボートは1艇もありませんでした、それは2ターンで全艇転覆したからです。

 

観客、実況アナウンサー、おそらく選手達自身も呆然、一体何が起こったのか。先行する艇が鋭いターンを決めようとしたところバランスを崩し転覆、接戦ゆえにコース取りの近かった後続艇も次々に接触し、ひっくり返っていったのです。

 

これがドラゴンボールのバトルならば、煙がたちこめる中で「や、やったか?」と言えば平然としているフラグですが、この常滑ボートレース場というバトルフィールドでは「や、やったか?」と言えば本当にやっていました。たちこめる飛沫の中ではさすがに平然とはしていることは難しく、ボートレース選手は訓練を積んだプロフェッショナルとはいえサイヤ人では無いので致し方ありません。ボートレースという競技では転覆自体はさほど珍しい現象ではありませんが、全艇転覆という珍事は接戦であったが故のアクシデントだったのでしょう。

 

そしてレース結果欄には選手責任外の失格を意味する「S0」が6つ並びました、普段はあまり見ることのない結果なので初見では何が起こったかわかりません、私もS0はサイヤ人ゼロの意味かな? などと思い調べてしまったほどです。

 

 

■返還艇123456

ところで全艇転覆となったこのレース、舟券はどうなったのでしょうか。通常転覆が発生するとその艇は失格扱い、関連する舟券も単純にハズレとなります、まさかの全券ハズレ扱いで払い戻し無しでしょうか。

 

答えは「返還艇123456」となります、ボートレースにおいてレース不成立になることを意味し、この場合1~6番すべての艇に関する舟券が返還になることです。そうですよね、さすがに返還無しだったら今度は観客がヒャッハーとトゲ付きの棍棒みたいなの振り回して暴れだすでしょうし。ちなみに返還艇123456は、ヘンカンテイイチフタサンシゴロクと読むみたいです、なんかかっこいいですね、気鋭の落語家みたいで。

 

なお、このレース不成立はボートレースの歴史上では何度かあり、5艇以上がフライングした時なども返還艇123456となります。真剣に走るからこそ、0.01秒を争うからこその転覆やフライングだと考えると、ボートレースはやはりシビアな競技と言えるでしょう。私の学生時代なんかは0.01秒どころか2時間くらい平気で遅刻しまくってヘラヘラしていた結果友達がいなくなりましたからね、ボートレーサー養成所(とても厳しい)に入ったら入学初日の午前中に退学になると思います。 

 

 

■今後の糧でボートに勝て、いや勝たせて

というわけで今回は全艇転覆という珍事をご紹介しましたが、他にもボートレースの世界には興味深い出来事がたくさんあります、ボートレースの歴史・事件を学び今後の糧としましょう。実際に私もボートレースにまつわる出来事や選手の事を知ることでより楽しめるようになりました、みなさんも楽しみながらよりボートを深く知っていただきたいと思います、時に勝負の判断材料としても役に立つかもしれませんよ。

 

ちなみに私は今のところ勝負としては役に立っていませんが、おそらくこれから役に立つんだと思います、根拠は無いけど。

 

 

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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