やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE4 挑戦者あり!?チャレンジャー乱入事件

連載
やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

 

【FILE4 挑戦者あり!?チャレンジャー乱入事件】

みなさんもご存じのようにボートレース場は屋外に存在します。おだやかな気候の中でのレース観戦は気持ちの良いものですし、天候や水流の影響を考えることもボートレースの醍醐味と言えます。空には鳥が、水中には魚が、レースの合間に水面に浮かぶ鴨の親子を見つけて微笑ましい気持ちになった方もいるのではないでしょうか。選手も時に自然からの乱入者に心温められ、また時にはコースまで侵入してくる野鳥にちょっぴり悩まされることもあるそうです。

とはいえレースに影響するような野生生物の乱入はほとんどありません、イルカやクジラみたいな大型の魚が入ってきたらそれは大騒ぎだと思いますが、今の所そうした事例は確認できません。

……え、イルカやクジラは魚じゃなく哺乳類だって? ああ、そういえばそうでしたね。では言い換えましょう、レース場に哺乳類が乱入する事件はこれまでありま……、いや、そういえばありましたね、大型の哺乳類が乱入してきた事件が。

 

▲鳥類はわりと頻繁に乱入する、というより最初からそのへんにいる。

 

■HERE COMES A NEW CHALLENGER!!

・事件のあらまし

2015年9月10時15分頃、ボートレース福岡のコース内に見慣れぬ影が一つコースを疾走。あれはなんだと選手・関係者が注目する中しっかりとコースを2周回った後に停止、その正体は水上バイクに乗った男だった。男はコース脇に待機していた選手達に向かい「レースしようぜ」と挑発するなどした後、さらにコースを1周して出て行った。

 

突然乱入してきたキャラが挑発の後に立ち去るという少年漫画や格闘ゲームもかくやという展開、映画ならここから2時間くらい壮絶なバトルレースが始まりそうです。まぁ現実ではこの男は強大なライバルになるわけでもなく建造物侵入と威力業務妨害で普通に逮捕されたわけですが。

 

競技中に観客が乱入するというケースは他のスポーツなどでは時折目にします、世界ビックリ事件や珍プレー系の番組では興奮したサッカーファンやアメフトファンがフィールドに乱入してあらあらまぁまぁなどとコミカルにアテレコされた映像が紹介されるのは何度もみました。もちろん危険なのでやってはいけないことですが、熱中するあまりにより近い距離でと考えてしまうファンの気持ちはわからなくもありません。

しかし今回のケースで考えてみると、ボートレースは水上でおこなわれる競技なので乱入のハードルは相当高いことに気づかされます。他の競技が簡単に乱入できるという意味ではありませんが、ボートレースの場合たとえ興奮したファンがコースに飛び込んでも選手達が走る位置まで行くことはかなり困難であり、下手に強行しようとしてもコース隅で網にとられてもがく困ったおじさんが誕生してしまうだけです。右足が水中に沈む前に左足を進められるタイプの超人ならば可能かもしれませんが、そんな能力がある人なら今頃アメリカのミュータントチームとかに加入しているでしょう。

この乱入のために用意されたものかは定かではありませんが、今回の事件では水上バイクというアイテムを男が所持していたということ。そしてボートレース福岡は博多港と行き来できる構造になっていたことが重なり今回の事件が成立してしまいました。レース場側も野生動物が迷い込む場合は想定していても、人間が意図的に侵入することまでは考えていなかったのかもしれません。(※現在は侵入できないよう対策されています)

 

■水上のドラマ、それがボートレース

それにしてもこの男が「レースしようぜ」と挑発した際に選手達がのって来たらどうなったでしょう。もちろんボートレースはルールの上に成り立つ“競技”であって“喧嘩”ではありません。乱入者に挑発されたからと言って西部劇の酒場ノリで「イキのいいやつが入って来たじゃねえか、オイ野郎ども俺の舟を出しな」とレースを始めるわけにはいかないでしょう、まぁそんな話もちょっとみてみたい気もしますが。

いや、架空のレース競技という設定にすれば、荒くれ男達が集うルール無用の水上レース映画くらいは作れるかもしれません。

 

ボートレースで結果を残せず悩む主人公のレース前に日突然見知らぬ男が現れる、すさまじい速さでコースを周回したあとに彼は言った「レースしようぜ」と。(『水上ワイルドスピード』プロローグより)

 

みたいな。

あ、いやダメですね、下手にリアルにすると真似する人が出てくるし、この事件の男を美化するような演出も良くない、コンプライアンス大事。

もういっそメルヘン寄りにしましょう、かわいい動物たちが集まって競う水上レース、これならお子様も安心。

 

へいわなみずうみでおこなわれる ねんにいちどのすいじょうレース ことしいちばんになるのは どのどうぶつかな? (『わんぱくすいじょうレース』プロローグより)

 

 

▲乱入して荒ぶるカモさん

 

 

はい、途中から完全に間違った方向に進んでしまいましたが、いずれにしてもルールを守って安全に楽しくレースを楽しみましょう。乱入ダメ、ゼッタイ。筋書きのないドラマが今日も水上で繰り広げられる、それがボートレースなのだから。

 

著者プロフィール画像
岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

人気記事

TERU #6

TERU #5

やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE22 必殺走法炸裂!?事件

めおと舟 その18『妻、人生初のボートレース場へ(2)』

念願のボートレース福岡へ ペラジェンヌってなんだ?【前編】

TERU #2