やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE7 敵は水中にあり!! アクアラング潜水事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE7 敵は水中にあり!! アクアラング潜水事件】

ボートレースの歴史は古く、1951年のモーターボート競走法制定から考えても70年近い歴史があります。

黎明期と比較すると現在では細かなルールや施設の整備が進み、競技性や安全性が高められたことでファンも楽しみやすくなっている現在のボートレースですが、悲しいことに不正がおこなわれる場面もありました。

モータースポーツでは他者より性能の良いマシンに乗る事ができれば優位に立つことができます。逆に自分以外のマシンの性能が落ちても同じく優位に立てるでしょう。

勝ちに飢えた選手がライバル艇に細工を施した? いいえ違います、選手達どころか整備士等の関係者は誰も細工を施していないのにも関わらず、特定艇の性能が落とされる事件があったのです。

 

■犯人はこの中に……いない!?

時は昭和41年、(旧)浜名湖のレース場の12Rで有力選手が軒並み下位に沈むという出来事があった。

不思議に思われながらもボートレースに番狂わせは付き物、払い戻しも通常通りおこなわれ、その日のレースは終了。事件はその翌日、選手たちが格納庫からボートを出して点検している時に発覚した。

12Rに出場した6艇中4艇のペラが不自然にねじ曲がり、傷つけられていたのだ。そしてこれはレース中の接触等で偶然ついたような傷ではなく、外部からペラ部分のみにかなりの力が加わったような形跡があった。

一体誰がこんなことを。

即座に選手や整備士等の関係者への事情聴取がはじまった。現在ほどではないにしても当時からセキュリティは厳しく、部外者が簡単にボートに近づけるような環境ではない。アイツじゃないか、いやあの人だなどと噂が飛び交い騒動になった。

しかし犯人はみつからなかった。

該当レース以外の選手を含め全選手ともにアリバイがあり犯行は不可能。そうすると何らかの自然現象、もしくは水中にボートを傷つけるほどの巨大生物が潜んでいるのか。水中に潜む巨大サメが人を襲う映画『ジョーズ』がヒットするのはこの事件の10年後であるが、日本のボートレーサーを狙う牙は既にそこまで迫っていたというのだろうか。

 

事件は意外なところから解決した、ボートレースとは無関係の事件で取り調べを受けていた男が件のペラへの犯行を認めたのである。

その手口は潜水用具を着用してボートに接近し、水中からペンチで細工するというものだった。細工した艇が思うように加速できないなか、自分たちの買った艇だけが通常通りレースをおこなうという寸法。男と仲間はそのレースの舟券を大量購入し荒稼ぎしたという。

 

▲大胆不敵、水中から迫る影

 

■オーシャンズ見聞

いや、なんとも大胆な事件ですよね。確かに水面は厳しく監視されていますが、水中から接近する人間に対する警戒は手薄だったのかもしれません。(念のためことわっておきますが、現在では同じ犯行は不可能です)

この話には余談が多く残されていて、この劇的な事件を映画化するという話があったとかなかったとかいう話があります。

確かにこうした大胆かつあざやかな犯行で大儲けという話は、犯罪とはいえウケそうな題材ではありますよね。ルパン三世がヒットした世の中でもありますし、チームを組んで一攫千金なんて話は映画や小説でも同様のヒット作品は数多くあります。

ただ、この事件の別の余談はけっこうトホホな内容です。

それが実はこの犯行はこれが初めてではなく、事前に何度も準備をして犯行を試みては失敗が続き、それまでかかった費用を考えるとウン百万の損失だったという話です。あざやかな犯行どころかすさまじく泥臭い実情、犯行仲間はもともと4名グループだったそうですが、潜水して細工するという一番肝心な実行犯役が失敗しまくり、なんとか引き入れた5人目の男が見事犯行を成し遂げたということです。

いや、犯罪行為に見事とか言ってはいけないと思いますが、それまでの経緯を考えると失敗続きで仲間内の空気は最悪でしょうし、ホントにこの計画成功するのかよとか言い出すヤツが出てきたり、もうウン百万も使ってんだから今更後にひけるかなんて感情的になってつかみ合いの喧嘩とかもしてたかもしれません。そして最終的に潜水が得意な救世主が登場したことでチームが一丸となり、見事舟券の払い戻しに成功したら感極まって泣いてしまったかもしれません。

 

うん、普通に人情コメディとしては面白そうですね。私は失敗する度にびしょ濡れで帰って来て反省会するシーンとかが観たいです。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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