やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE19 豪雪ホワイトアウト事件

連載
やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

 

【FILE19 豪雪ホワイトアウト事件】

みなさん御機嫌よう、岡井です。寒さも増すこの頃、いかがお過ごしでしょうか。

ボートレースを知らない人に話すと意外に驚かれますが、ボートレースは雪でも開催されます。まぁ、雨でも開催されますし、出場選手はどのみち水に濡れるので、水面凍結でもしない限り問題はないということでしょう。

ちなみにボート自体には、冬期間になると燃料供給装置であるキャブレ―タ―の凍結を防ぐため、温水パイプが装着されます。レース場等でもアナウンスされているので、温水パイプから季節の流れを感じるファンもいるとか。

 

しかし2019年11月現在、最北のレース場は群馬県の桐生ボートレース場です。北海道でのレースということならいざ知らず、冬場でもそこまで大変な雪というのもあまりイメージが無いような気がします。前述した水面凍結も波や風があるレース場ではまず起こりませんし、冬の一時期に雪がちらついてあらまぁ風流ですねなどと四季を感じる程度でしょうか。

――などと、考えるのは甘いです。狂おしいほどに季節感たっぷりの日本気候はボートレースにも容赦しません。

 

■レース展開1-1-1 全部1号艇!?

日本は世界でも有数の気候変化が激しい国であり、年に数回大雪に見舞われることも多くあります。特に雪に慣れていない地方で「交通機関がマヒした」「転んで病院に行った」などとニュースになり、大変な思いをした方も多いのではないでしょうか。

そんな大変な思いをした日も、もちろんボートレースは元気に開催中。雨でも雪でも開催するのがボートの世界です。レースを中止させたきゃ槍でも降らせろと言わんばかり。(※もちろん危険性が高い気候の場合は中止されます)

 

2011年2月12日 徳山

モーニングレース開催記念 徳山DERBYCUPの4日目でしたが、この日の天候は雪。山口県は年間を通してもほとんど降雪がないエリアなのですが、この年は違いました。それもかなり激しいもので、翌13日のアメダス記録では、隣の広島県八幡で207cmと歴代1位の積雪を記録しています。

そんな中でのレースなので、とにかく視界が悪い。観客席や中継画像も雪によって視界が遮られ、場面によっては真っ白になってしまうこともありました。大時計もろくに見えない中、おそらく選手達も相当苦労したかと思いますがスタートは正常。なんと全12レース中スタート事故は0です、さすがプロ。

しかしレース展開を見守るファンはざわつきます。視界が悪すぎてレース展開がわからないのです。

 

▲もうなんだかよくわからない、だいたい白い

 

白い艇が先頭、1号艇が抜けたか。それに迫る白い艇、1号艇? あっ、よく見たら3号艇か? さらに後続は白い艇と白い艇――いやもうボート全部白く見えるわ!! 1-1-1 全部1号艇か!!

雪まみれの状況でかろうじてボートの姿をとらえても、なかなか何号艇なのかが判別できません。自分が応援する選手が勝っているのかどうか、その判断にはとにかく注意深くじっと観察する必要がありました。貴重な野生動物の生態観察みたいな光景です。

 

■選手も頑張る、ファンも頑張る、そして‥‥

観戦が困難なほどの気候は数える程度かもしれませんが、雪のレース自体は毎年どこかで開催されています。

多くの選手達は普段と違う環境に苦戦するでしょうし、落水は凍える寒さでしょう。でももしかしたら、むしろ雪が得意という選手もいるかもしれません。

ファンにとっても単純に観戦環境としては良いとは言えないかもしれませんが、鼻水をすすりながら雪のレースを楽しむのも冬の季節ならではと考えることもできます。そして雪のレースはやはり荒れる傾向にあるので、大きな勝ちを狙う人にもおすすめと言えるでしょう。

 

凍てつく寒さの中選手も頑張る。ファンも頑張る。そして大雪のレースではもう一人頑張っている人がいます、それはレースの模様を伝える実況アナウンサーです。

視界が悪い中で目まぐるしく展開するレースを正確に伝えねばならないので、そのプレッシャーはかなりのものでしょう。モニターを見守るファン達が「いや、何が起きてるのかわかんねぇよ」と言っていても、アナウンサーが「うん俺もわかんねぇ」と言うわけにはいかないのです。

ちなみに今回ご紹介した徳山のレースでは、フリーアナウンサーの二宮淳一氏が見事に伝えてくれました。さすがプロ。

 

中継レースを楽しむ人に向けて展開を伝え、盛り上げてくれるアナウンサー。彼等が最も活躍する日はそんな荒れた天候の日かもしれません。

 

著者プロフィール画像
岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

人気記事

TERU #7

TERU #6

TERU #5

TERU #4

TERU #3

TERU #2