やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE23 動いてエンジン事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE23 動いてエンジン事件】

 

どうもみなさん御機嫌よう、岡井です。モーターレースにマシントラブルはつきもの、技術が向上しているとはいえ、精密機械であるボートも例外ではありません。今回はそんなマシントラブルの代表とも言える存在、エンストについてご紹介しましょう。

 

最近のエンスト事件と言えば、10月に平和島で開催されたトーキョー・ベイ・カップ初日の12Rが記憶に新しいところでしょうか。1周1マークで張り込んだ2号艇が転覆、そこに4号艇が乗り上げるようなかたちで急停止。2号艇は転覆失格、そして4号艇はエンスト失格となりました。

 

ボートってそんなに簡単にエンストするの? と思う方もいるかもしれませんが、もちろん通常のレース展開や多少水をもらう程度では影響はありません。しかし運が悪いとエンストしてしまうこともまた事実。エンストの要因はいくつかあるので事項で少し説明しましょう。

 

■どうしてボートがエンストするのか

ボートレースで最も多いエンストの要因は、点火プラグが濡れて火花を飛ばせなくなることだと言われています。ではなぜ火花を飛ばせなくなるとダメなのか。

そもそもエンジンの仕組みを簡単に説明すると、空気と燃料を混ぜて爆発させて、その勢いを動力化するものです。つまり火花が出ない場合は爆発させて動力化するサイクルがうまくできないため、ボートは動力を失った状態になってしまうというわけですね。

自動車だって外装を取り払って動力部を剥き出しにして走ればエンストするでしょうし、エンジンが濡れると使い物にならなくなるという理由はここにあります。

 

もう一つの要因として、水上の浮遊物を巻き込んでしまったり、他艇と接触した時など、エンジンへの異常負荷を避けるためにピンが外れてペラが空回り状態になることがあります。激しいレース展開の中で不可解に急停止する艇があった場合は、この要因でエンストしている場合が多いです。

 

▲様々な要因からレース中の復帰は困難

 

これらはいずれもアクシデントなので、レース中に起こっても選手責任外の失格になることがほとんどです。ただし転覆や落水と同じく舟券は返還対象にはならないので、ファンとしても起きて欲しくないトラブルでしょう。

しかしレース中であっても選手責任でエンストしてしまうことがあります。他艇から水をもらうでもなく、浮遊物でもなく、突如停止した1号艇。果たしてその要因とは。

 

■冷えたエンジンと観客

2017年6月23日 唐津 6R

2、3、4号艇に上位級の選手が並ぶ布陣でスタートしましたが、そこはやはり1号艇。1周2マークで巧みにコース取りをしたこともあり、うまく後続を引き離します。言うまでもなくボートレースは先行が絶対優位、それまでは後続艇に4~5艇身はあろうかというリードを保っており、誰もが勝利を疑わない状況です。

1号艇が不可解な挙動をみせたのは、レースも終盤に入ろうかという2周2マークでした。

それまで好調なレース展開でトップをひた走る1号艇がまさかの振り込み(※旋回したボートが直線に進路をとれず、回り過ぎること、バランスを崩すこと)。急激に減速をしてバランスを失う1号艇でしたが、後続艇もなんとかかわしていったため接触事故は避けられました。

上位は無理でもせめて完走は。そう思って1号艇をみるも、ボートは停止していました。振り込み時に水が入ったのか、それとも他艇から水をもらったのか、接触したのか、原因は定かではありませんが、1号艇はこの時点でエンスト失格となってしまいました。ちなみにS1の選手責任での失格です。

先行での圧倒的優位からこの展開、嘘だろと言いたいのは選手以上に、舟券を買っていたファンだったことでしょう。

 

ちなみにエンストはルール上再始動できればレースに復帰することも可能なようです。ただし実際には安全航行の観点からすぐに失格コールされることがほとんどです。仮に復帰しても制限時間内の完走は難しいと思われるので妥当な判断だと思います。

どうでもいい話ですが、私の人生は基本的に手こぎボートのような低速航行です。でも復帰力だけはしつこいくらいにあります。まっとうな人生を生きる他艇とはレースになっていませんが。

 

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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