やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE27 孤独のボート事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

 

【FILE27 孤独のボート事件】

どうもみなさん御機嫌よう、岡井です。私は負けず嫌いなのですが、同時に面倒くさがりなのであまり他人と勝負をしないという変な性格をしています。

みなさんは何かを争う、競うということについてどうお考えでしょうか。勝負事は苦手だという人もいれば、勝ち負けをハッキリさせたいと思う人もいるでしょう。

言わずもがな、ボートレースというものは複数のボートが着順を争う競技です。だからこそ他艇との駆け引きが重要であり、時にはアクシデントが起きることもあります。もし一人でレースができればどうでしょう、きわどいラインを攻めたターンをする必要もありませんし、他艇の引き波を気にする必要もありません。大差をつけたリードで誰にも邪魔されず、自由気ままに水上を一人旅するというのはレーサーの憧れかもしれません。

 

■レースをする時は誰にも邪魔されず自由で

2017年10月11日 鳴門 9R

2周1マークを回った後、5号艇は一人旅になりました。バックストレッチの直進を先行する艇はおらず、また後方から追ってくる艇も見当たりません。

レースをする時はね 誰にも邪魔されず自由で なんというか 救われていなきゃあ ダメなんだ

と言ったかどうかはわかりませんが、鳴門の水面を航行しつづけるのは5号艇の黄色だけでした。

 

▲ありません

 

なぜこんな孤独のボートが実現したのか、レース展開をさかのぼってみましょう。

まずスタートで5号艇は.26というやや遅れ気味の立ち上がり。実際他艇に遅れるかたちで第1ターンに差し掛かります。トップで逃げるかと思われた1号艇がここでターンマークに接触したか、バランスを崩して落水、後続した2号艇、4号艇もかわしきれず転覆と落水。アクシデントの影響か、残った3号艇と6号艇もややふくらんで1マークを回ります。スタートの遅れが功を奏したか、5号艇はインを抜けてトップに踊り出ます。正直ごっつぁんゴール感がある展開ですが、これもまたボートです。

レースは5-3-6のかたちとなり、残った3号艇と6号艇が追ってきます。特に3号艇は1周2マークでかなり近い距離まで差を詰めており、まだまだ結果はわからない状況。そんな状況の中で流れたアナウンスが「3号艇、6号艇、フライング失格」。2マークを回った後、静かにコース脇に艇を寄せてレースを離脱していくフライング艇。そしてライバル艇が全部失格となったため、うおォンと単独で航行する5号艇。まるで練習風景のような光景に、アナウンサーも思わずなんとも寂しいレース風景ですとコメントしました。

 

■独りで静かで 豊かで……

一人だけのレースとなった場合、順位の差などつけようもなく完走すればその時点で1位です。規定上他艇がいなくとも最後までレースを続けることになりますが、それはもうレースというよりかは何かの儀式みたいになっている気がします。

舟券も大半が不成立となるため、レースを見守るボートファンにもしらけたムードがただよい、選手としても喜ぶわけにもいかない状況でしょう。レース展開を考えると、開幕からぶっちきりでのトップを独走し、後続艇が失格とかならいくらかよかったんでしょうけど……。いや、よくはないですね、1位は1位なんですが。

 

レース競技では後続に差をつけてトップを走る状況を独走態勢と称しますが、誰も追うものがいないこのレースこそ、本当の独走態勢と言えるのかもしれません。もっとも選手としては全艇揃った状況でトップをとってこそ、という意識はあると思いますが。

ちなみに私は独走態勢に入ろうとすると「おまえのは独りよがり」だと注意されます。がーんだな……

 

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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