やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE32 突然ペアボート事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

 

【FILE32 突然ペアボート事件】

どうもみなさんごきげんよう、岡井です。ボートレース用のボートは基本的に一人乗りですが、世の中には様々なボートが存在し、その用途も多岐にわたります。今回はレース用ボートのはずなのに突然乗員が増える、そんなお話です。

 

そもそもレジャー用ボートはその多くが複数乗りですし、公園の池にあるような手漕ぎボートも2人以上で乗る人が多く、一般的にはボートという乗り物は一人乗りの方が珍しいのかもしれません。

そんな一人乗り競技用ボートですが、実は二人乗りを楽しめるイベントとしてペアボート体験会があります。ペアボートとは競技用ボートの走りを体感できる特別なボートで、一艇に前後並んで乗り込み、後ろでプロのボートレーサーが操縦してくれます。あこがれのボートレーサーの世界を体験できる人気イベントなのですが、開催日程は限られているので、ペアボートを楽しみたいという人は各ボートレース場のwebページ等をまめにチェックすると良いでしょう。

 

ただしペアボートはあくまでファンサービスのための特殊仕様。レースの本流とも言うべきはやはり一人乗りのボートですし、日々開催されるレースも一人一人の孤独な戦いです。しかし過去のレース中、突然二人乗りボートが出現したことがありました。二人で乗り込んだりしたら発進する前に気づきそうですし、もしかしたらペアボート用の艇で間違って出走したのか。様々な想像が膨らみますが、実際に二人乗りボートが出現したレースは福岡で起こりました。

■ライドオンタイム

2009年 10月27日 福岡 9R

人気の6号艇が2枠に入り熾烈なイン争いを予感させる進入、内から263/451のかたちでレーススタート、スタートは正常です。2号艇、3号艇が好スタートをみせ、いち早く1マークを回らんと旋回に入り、その2艇の間に6号艇が入っていくように艇を回します。

どの艇も譲らず、コースの取り合いになるかと思った矢先、接触からバランスを崩したか3号艇が転覆。ひっくり返った艇に押し出されるように、隣にいた6号艇も投げ出され落水というヒヤっとする場面となりました。そこから辛くも最インを突いた2号艇が抜け出したか、バックストレッチに艇を進めます。

アクシデントがあったとはいえそこは勝負の世界、トップに立った2号艇にとっては大チャンスの状況です。あとは事故艇を避けて慎重に進めれば1着は濃厚……。あれ、なにかおかしいような……。

 

あっ!? 2号艇に二人乗ってる!!

 

▲突如誕生した相乗りシステム

 

そう、アクシデントで投げ出された6号艇選手が2号艇にストンと同乗していたのです。狙ってやったわけではないと思いますが、ペアボートの乗り方そっくりにライドオンしています。業界騒然の相乗りシステム、一体この後どうなるんだと観戦者全員が半笑いでレースの行方を見守ります。

ところが2号艇はみるみる減速、やはり二人乗りは重量が厳しいのか、と思っていたら先ほどのアクシデントの影響でエンジンストップしていた模様。3号艇、6号艇に引き続き、無事(?)2号艇も失格のアナウンスが流れました。

 

■乗って乗られて乗船バトル

いつの間にか二人乗りになってプカプカ浮かんでいるボートが出現するという珍事に、場内は朗らかな笑い声に包まれたという話もありますが、選手視点だとちょっと複雑な気もします。

なにしろ知らぬ間に乗客がいるなんて普通ならあり得ない展開、これがタクシー運転手なら怪談の定番シチュエーションですよ。乗り込んでしまった方もどうでしょう、もちろんアクシデント発生時には自身の身を守る行動を心掛けていることと思いますが、気づいたら他人のボートに乗ってたなんて状況を把握するのに時間を要すと思いますし、理解したところでみんなに微笑ましく見られている状況に気付くのはなかなか恥ずかしいような気もします、ことあるごとにイジられそう。

 

もちろん無事でなにより、それが一番です。でも多くの人が気になっている疑問が残されていると思います。それは二人乗り状態のまま2号艇がゴールしていたらどうなっていたのかということ。今後同じ状況があるとは考えづらいのですが、心のどこかでちょっと期待してしまう自分がいます。

著者プロフィール画像
岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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