やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE39 ボートオンザネトロン事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE39 ボートオンザネトロン事件】

どうもみなさんごきげんよう、岡井です。レース競技においてカーブを攻める時の基本はインを突くこと。カーレースでもアウト・イン・アウトというコースどりが基本と言われ、いかに減速せずにコーナーをクリアするかがレースの鍵。もちろんボートレースにおいても熾烈なインあらそいが繰り広げられます。

 

ボートレースにおいて原則的にインが有利ということは今更説明するまでもありませんが、その最たる理由は重要な1マークにおいてインを突きやすいことでしょう。それゆえに進入時からのコースどりやピット離れをスムーズにおこなうことが重要であり、いかにインに入るかを中心とした駆け引きが展開されます。

誰よりも速く、誰よりもインを狙う。それこそターンマークにギリギリ触れるかどうかというラインで勝負をかける選手も存在します。さらにそれを読んでアウトコースからマクりをかけて抜く、またはツケマイと呼ばれるイン艇の外側から推進力を奪って前に出る高等テクニックまで存在します。

そうした選手同士の駆け引きが繰り広げられ、飛沫が舞う1マーク。誰しもが注目するその攻防の中、1艇のボートがちょっと変わった状態になる事件が起こりました。

 

■周回しない展示

2008年 4月4日 丸亀 3R

ピットから出た各艇がそれぞれコースを主張し、2マークを回るまで1コースが争われ、なんとか1コースを死守した1号艇、一番人気の3号艇が2コースに、ピットアウトで若干もたついた2号艇は4コースに、インから1342-56と4対2のかたちでスタートしていきます。

スタートは正常。2号艇、4号艇がやや遅れるかたちになりながらも1マークに入り、各選手が入り乱れて激しい飛沫が上がります。ようやく水面が落ち着き、それぞれがバックストレッチ側での直進形態になる姿が確認される中、1マーク付近がなにやらおかしな状態になっています。

 

▲消波装置上に鎮座するボート

 

……ボートですね。4号艇が1マークに連なる消波装置(BOAT RACEとか書いて水に浮かんでる細長いアレ)に乗っかっています。なんなら展示物のように乗って安定しています。エンストしたのでしょうか、前にも後ろにも行けず、選手もキョロキョロするばかり。妙に安定しているからでしょうか、救助艇も出てきません。2周目に入っても4号艇は乗っかったまま、3周目でも相変わらず消波装置上の置物です。レースが終わるまでこの珍状態が続き、他の選手や観客からもじっくりと観察されるさらし者状態に。

結局4号艇はエンストのため失格という結果でレースは終了しました。おそらくはインを突こうとした際に他艇の波をかぶってエンスト、そのまま制御できずに乗り上げてしまったものかと思われますが、ちょうどよく消波装置の上に乗って停止するというのはかなりの珍事。ファンの間でも面白おかしく語り継がれていきました。

■ずっと俺がターン(マーク)!!

ボートレースにおいては転覆や落水での失格はまれに発生しますが、コースアウトというものはほとんど発生しません。ターン時にボートが外側に流れても、タイムロスこそあれどそれ自体では失格になりませんし、万一インに入り過ぎて回り切れない場合でも一旦切り返して回り直せば競技は続けられます。しかし乗り上げてしまっては手も足も出ません、まな板のコイならぬ、消波装置上のボート。もしこの選手が小学校低学年くらいだったら「もうやだボートやめる!!」と泣きべそをかいてしまうほどの辱めでしょう。

レース展開、ターン角度、エンストタイミングと全てがタイミングよく(悪く)条件が整ってしまったために起こったこの珍事。この事件を知る人同士であれば、忘年会で紅白のうんこみたいな帽子をかぶって「俺がターンマークだ!!」くらい言えば鉄板ネタになりそうです。

 

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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