やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE41 即刻帰郷!? 減速騒乱事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE41 即刻帰郷!? 減速騒乱事件】

どうもみなさんごきげんよう、岡井です。レース中のボートが突然減速するのはどんな時でしょうか。思いつくのは自艇にエンスト等のトラブルが生じた時や失格を宣告された時、他には前方で落水があった時などに危険を避けるために減速することが考えられます。あとは旋回時に小さく回るための減速もありますね。

 

当然ながらボートレースは着順、つまり速さを競う競技なので基本的に減速はしません。旋回時の減速に関しても、体重移動をうまく使った全速ターンがメジャーテクニックとして存在しており、全てのボートが高速で移動するのが日常の光景と言えます。

ましてや最後の直線、あとはゴールを残すのみという場面では全力で握り、ゴールラインを切るまでは限界まで加速し続けます。これは競輪も競馬も、F1でも変わらないレースの鉄則ともいうべき流れです。

しかし2020年のある日のレース、そんな日常が崩れ物議をかもした出来事がボートレースで起こったのです。

 

■先行の1号艇、減速に次ぐ減速

2020年2月20日 尼崎 9R

この日は女子レーサーが競うヴィーナスシリーズの4日目、出場唯一のAクラスである1号艇が有力視される中、他の選手もシビアな得点ラインを競う勝負駆けのため1つでも着順を上げようとするのがこの9Rレースでした。

進入は123対456でスタートは正常。しかしやはり強い1号艇、1マークを回った時点でぶっちぎりの強さをみせつけ他艇を引き離します。勝負の注目は2番手争いへと移っていきますが、2周1マークで5号艇が振り込んでしまいエンスト。あわや接触かと思われましたが、6号艇4号艇も横をすりぬけてレース続行。

レースが3周目に突入したところで、エンストしていた5号艇が立て直しレース復帰。後方から迫っていた1号艇はここで微妙な判断を迫られたか、若干減速しながら発進した5号艇の後ろにつけます。

そして最終直線、この時点で5号艇はあと一周を残していますが、すぐ後ろにいる1号艇はゴールラインを越えれば1着でレース終了という状態。……なのですが、なんでしょうまだゴールしていません。ちょっと遅いような、これは……減速してる?

 

▲なんとなく遅いと観客も気付いていました

 

……うん、あ、ようやくゴールしましたね。

レース結果としては減速があっても順位は変わらず1-6-4で決まりました。該当の3連単舟券も18番人気と、アクシデントがあったと考えてもそれほど荒れた状況でもありません。

 

しかしレース終了後、1号艇選手には即刻帰郷という厳しい処分が下されました。

 

■慈悲か疑惑か、間の悪かった悲劇

その日の別レースには出場できる“即日”帰郷ではなく、処分を告げられた時点で荷物をまとめて帰らなくてはいけないのが“即刻”帰郷。ボートレーサーへの処分の中でも相当に重いものです。

なぜ即刻帰郷が言い渡されたのか、その理由は減速をおこなった1号艇は「騒乱を引き起こす航法」だったというものです。実はこの時期、いわゆる八百長疑惑でボートレース界が揺れていた時期であり、ボートレーサーは関係者からもファンからも厳しい目で見られていました。

そんな中で不可解な減速をしてしまうと何らかの意図があるとみられても不思議ではありません、2周1マーク付近での減速は5号艇との接触を避けるための減速だとしても、ゴール前の減速は説明ができないものでした。今回は順位変動が無かったから良いものの、これがもしゴール手前で他艇に差された場合などは、もっと大ごとになっていたでしょう。

 

そもそも1号艇は何のために減速したのか。これについてファンの間ではエンストした5号艇を完走させる猶予を与えようとした選手のやさしさだと言われています。1着がゴールした後30秒以内にゴールできない選手は失格というルールがあり、完走手当ももらえなくなります。そこで1号艇選手は早くゴールし過ぎないように意図的に減速したのではないかということです。

処分が下らなかったとしても誰も不幸にならない出来事だったことから、即刻帰郷は厳しすぎるという声も多く上がった事件でした。しかしながらどこまでを許せばいいのかも非常に難しい問題であり、八百長とまではいかずとも、勝負の世界に慣れ合いを持ち込むべきでないという意見ももっともです。

間が悪かった、運が悪かった、と言ってしまえばそれまでですが、どうにも難しい事件であったのではないでしょうか。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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