やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE43 消えた優勝戦!! 嵐の一日事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

 

【FILE43 消えた優勝戦!! 嵐の一日事件】

どうもみなさんごきげんよう、岡井です。当連載ではこれまで難水面の話を何度か取り上げてきました。風雨の影響をうけやすいボートレースにとって、天候は重要な要素の一つです。

 

ボートレースに影響する主な天候要素は風、水面に浮かぶボートはわずかな風でも船体が動かされてしまい影響を受けます、ましてやシビアなコースどりをするレース中などは急に突風が吹いて命運がわかれるなどと場合もあるでしょう。そうした要素を考えながら、追い風はインコース有利、いやいやこのレース場はむしろ向かい風が、などと予想するのもファンの楽しみ方の一つとなっています。

風の強さを表す尺度として「風速」があり、これは風として空気が移動する速さのことです。 気象庁などで通常使われる単位はm/s(いわゆる秒速)で、ボートレースでもこれを採用しています。台風情報なんかでは「最大瞬間風速」が報じられることも多くありますが、これは10分間の平均をとる風速に対し、3秒平均で計測した時の最大値を表すものとなっています。あと、余談ですけど「瞬間最大風速」は誤りです。

風速◯mと言われてピンと来ない人は、ボートレースにおいては風速5mあれば風が強いと言われ、風速7mになるとレース進行に影響が出ると考えて下さい。とあるベテラン選手がフライングをしてしまった時に、その要因として「スタート中に風速7mの追い風が吹いて対処できなかった」と語っています。

今回はそうした天候の影響を受けたとある場の一日のレースをご紹介しましょう。

 

■吹きすさぶ風、多摩川の長い一日

2011年9月21日、この日は第6回日刊ゲンダイ杯の最終日。台風15号が首都圏に接近し、日本一の静水面と言われる会場のボートレース多摩川でも荒れが予想されていました。実際お隣のボートレース戸田は開催中止を決めるなど対応に追われ、ファンも心配しつつレースを見守ります。

まずはレース前半の結果と風速をみてみましょう。

 

1R 4-5-3 風速1m

2R 3-2-4 風速1m

3R 3-1-5 風速0m

4R 2-4-5 風速5m

5R 4-2-6 風速5m

6R 4-1-5 風速7m

 

序盤は雨が降り続く天候ながらもそれほど風は出ていない状況でしたが、徐々に風も勢いを増して6Rには風速7mに。これまで一貫してインをとり続けている1号艇が一度も1着に入っていないことも、荒れた水面の影響を感じさせます。

 

7R 2-4-6 風速7m

8R 2-1-3 風速8m

9R 2-3-6 風速8m

 

さらに風雨が激しさを増していき、1マークでのもつれ合い等ひやっとする場面もみられるようになります。放送するカメラにも大粒の水滴が付き水面にも黒い波が立つ状況、レース場に集まったファンも大丈夫なのかとざわつきます。ちなみにここまで全レース、スタートは全て正常です。視界も悪い状況でこれはさすがプロと言うべきでしょう。

 

10R 2-3-4 風速9m

 

10Rからは安定板使用でのレースとなりました。それでも風の影響は強く、スピードが乗り切らないのに1マークの旋回時にはボートが滑っていくように動いたりとかなり手ごわい水面だというのが見てとれます。

 

11R 1-2-4 風速12m

 

11Rからは周回展示1周、本番レース2周の短縮形式に。厚い雲に覆われた会場は暗く、ナイターのような雰囲気です、大時計すらゆらめくような状況で非常に視界が悪い。風速はついに12mに達し、待機中にもボートが流され上下しています。スタートを切っても各ボートが細かく飛び跳ねるように進み、ファンからも多摩川イルカショーなどと言われる事態に。

 

12R -

待ちに待った優勝戦、吹き荒れる台風の猛威にさらされる中で動向が見守られ、安定板の使用と周回短縮のお知らせが会場に流れます。

やはりやるのか、もはや無事に帰ってくるのが選手の努めといった印象の場内、ボートレーサーとは過酷な職業。ここまでやったら優勝戦まで走り切るという覚悟が必要なのか。

 

▲激しい風を受けながらのレースにファンの心もホットリミット

 

そう思っていると、アナウンスにかぶせるように、水面状況の回復が困難のためレースの中止、打ち切りが発表されました。レース中止自体は珍しくありませんが、最終日の優勝戦だけをやらないという状況はなかなかありません、これまでのレースは一体なんだったのか……

 

■スタート正常で感じるプロ魂

この日のレース、水面はめちゃくちゃ荒れていましたし、原因となった台風15号の最大風速は25mでした。優勝戦を強行した場合、なんらかのトラブルが起こる可能性は否定できず中止は正しい判断だったと思います。

あまり注目されることはありませんが、この日の多摩川開催レースのスタートは11Rまでを含めてを全て正常でした。荒天だったので慎重にスタートしたという考えもできますが、ボートレースの場合は出遅れも失格となるので、単に様子をみながら加速すれば良いという簡単なものでもないでしょう。

多摩川イルカショーと呼ばれたこの日のレースもただのイルカではなくプロのイルカ……じゃなかった、プロのボートレーサーの技術が垣間見えた一日でした。

あと、全くの余談ですが帰りの電車が台風の影響で止まって帰れなかったファンがいたとかいないとか、家に帰るまでがプロのボートレース観戦なのでしょうか。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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