やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE47 奇跡!? 水面に立つ選手事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE47 奇跡!? 水面に立つ選手事件】

どうもみなさんごきげんよう、岡井です。古来より人気のある神秘的なシチュエーションの一つに、水面に人が立つという場面があります。海や湖で精霊や神様のお告げを受ける、なんてシーンで彼らはよく水面に立っている姿が描かれます。人間には不可能な行為だからこそ神秘であり奇跡、よりいっそうありがたさも増すというものです。そしてボートレースでも水面に立つ奇跡、起きています。

 

当然ながら人間が何の仕掛けも無しに水面に立つことは不可能です。中東の死海のような塩分濃度の濃い水では浮力が大きくなるため人体が浮かぶことはできるのですが、水面に接する面積が小さくなるので直立することはできません。

「驚愕!! 水上を走る男!?」みたいな中国のビックリ人間紹介番組を見たことがあります。しかしそれはゴザみたいなのを水面に浮かべて上を走るという内容でした。たしかにそれでもスゴイんでしょうけど、なんか思ってたのと違う感は拭えません、全然神秘的じゃないし。

 

ではボートレースでの水上に立つ男とはどういうことなのか。それはこんな内容でした。

 

■湖上の男に神秘を感じろ

2016年 2月2日 住之江 11R

一般戦ですが全てAクラス選手での開催となったこのレース、天候は曇りですが波風は無く、静かに闘志を燃やす選手たちのぶつかりあいに注目が集まります。

ピットを離れたところからまずは進入争い、なんだかんだありながらもほぼ枠番通りになることの多い昨今の進入ですが、このレースではピット離れも速かったベテランの3号艇選手が果敢に仕掛けます。まくり気味に回ったところで船首をインに向けて主張、しかし1号艇もインを主張しており、内に入れまいと加速し3号艇のさらに内側にボートを滑り込ませ、接触する両選手。レース前の2マーク付近で早くも勃発した争いは、ベテランのテクニックが上回ったか3号艇が1枠に入りました。

なかなかきわどい争いだったけれどインは3号艇か、すると1号艇は2枠に入るのか、それとも思い切ってアウトに回すのか。これからのレースの波乱を感じスタートを見守るファンが見守るなか、1号艇は2枠には入りませんでした、いえ、入れなかったのです。

なんと先ほどの接触の影響で消波装置上に乗り上げてエンスト、これはスタート前から厳しい展開です。乗り上げてしまったボートを水面に戻そうとしますが、なかなか簡単ではありません。完全に動力を失ったボートは前にも後ろにも進めず、体を揺すった反動で水面に復帰しようと試みるもうまくいかず、このままでは進入から有利な位置をキープどころかレース復帰もあやしいところ。当然ながら時間がくればそのまま失格、一体どうなるんだ。

 

▲水上でスッと立ち上がる選手

立った、立ち上がった。

パッと見、水上に立っているようにも見えましたが、ボートと消波装置にそれぞれ片足を置き、またぐようなかたちで足の力を使って水面に戻ることに成功しました。

選手は必死だったと思いますが、おもむろに船外に踏み出した時には入水するのかと思ってちょっとヒヤッとしましたね、なにしろレース中に自ら船外に出る選手なんて普通いませんから。アルプスの少女ばりに「えっ、立った!?」って驚きましたよ。

 

ちなみにその後に1号艇は3枠に入り直し、レース結果は3号艇の逃げで3-1-4。トラブルがあった後でもしっかり2着に入るあたりはさすがプロレーサー。

 

■意外なところから判明する技術

3-1-4という結果自体は4番人気であるため、それほど波乱の展開とは言えませんが、レース結果だけを見ているとわからない波乱がこのレースにはありました。

結局水面に立ってるわけではなく、ボートと消波装置に立ってるだけじゃないかと言われるかもしれません。でも意外じゃありませんか? あのぷかぷか浮かんでる柔らかそうな消波装置は足をかけても沈まないんだと。

神秘とは違うかもしれませんが、あんな素材が生み出される技術ってすごいと思ったレースでした。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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