めおと舟 その58『海外ドラマ舟』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
妻の言葉から唐突に始まった夫婦共通の趣味・ボートレース。当初の目的である引っ越しを終え、次なる目標は『楽しみながら勝つ事』。夫婦合算で年間収支プラス30万円を目指し始めた。タイムリミットは年末。果たして結果は……?

 

もとより映像作品が好きな性質をしてるのもあり、オイラは最近よくサブスクリプションでドラマやら映画やらを観てる。NetflixとHulu。あとはOSOREZONE。Amazonのやつも入ってたけども何かインターフェースが気に食わなかったんで松本人志さんの一連のバラエティだけ観て解約した。また何か面白そうなのがあったら加入すると思うけど、まあ今の所はその3つでいっぱいいっぱいだ。

「映像作品が好き」というのは妻のはるちゃんも同じで、ここ最近二人してサブスクで観た和ドラマだけでも『家政婦のミタ』『重版出来!』『女王の教室』『探偵が速すぎる』『過保護のカホコ』『コウノドリ』『ハケンの品格』『今日から俺は!!』などなど、新旧問わず気になったらバンバン観ておる。ちなみにオンタイムの放送も録画してみておるので、このコロナ期間で放映が停まってしまっている『麒麟が来る』『エール』『浦安鉄筋家族』あたりの再開も楽しみにしてるし、また先日放映が始まった『親バカ青春白書』なんかは毎週日曜が楽しみでならん次第。

んでオイラの場合はこれらに加え、手前一人で観てる海外ドラマやら映画、アニメも大量にあるんでこれはもう大変である。ふぅ! 仕事やってるヒマがねぇぜ!

というのはウソで、実はそういうインプットもライターとしては大事な作業のひとつだったりする。マジで身の回りでも明らかに「ネタ探し」であったり「勉強」あるいは「刺激」のためにテレビや映画を意識して観まくってる人も多いし、例えばオイラの場合は今だと「異世界転生モノ」のアニメは完全に勉強のためだと割り切って観ておる。その時期のエンタメのスタンダードは、常に入れとかないとどんどん追いつかなくなってくからね。

さて、そんな中。オイラの心を鷲掴みにしている海外ドラマがある。

超有名作品なんで今さら解説するのもあれだけども、ヴィンス・ギリガンプロデュースの『ブレイキング・バッド』『エル・カミーノ』『ベター・コール・ソウル』で構成される、俗に言う『アルバカーキ・サーガ』だ。これはもう史上最強のドラマだと思うしおそらくこれを超える作品は今世紀中にはたぶん出ない。それくらい群を抜いてオモロイ。群像劇を俯瞰的に見ることに愉しさを覚える人にとっては『ゲーム・オブ・スローンズ』の方がハマるみたいだけども、登場人物にガッツリ感情移入するタイプだと間違いなくこっち。笑えるし怖いし泣けるし、感情ががんがん揺さぶれてジェットコースターに乗ってるような気分になる。

あんまりおもしろくて何周も観てるけども、何回観ても面白いしおんなじ所で泣く。特にシリーズの原点である『ブレイキング・バッド』シーズン5の14話。実質最終回にあたる『Ozymandias(オジマンディアス)』というエピソードはドラマだけじゃなくて全映像作品の中でブッチギリのカタルシスがあって毎回鳥肌が立つ。あと『ベター・コール・ソウル』を観た後で再度『ブレイキング・バッド』を鑑賞した時、ソウル・グッドマンの登場シーンで何か知らんがめちゃくちゃ感動した。ホント良く出来てる。まだ観てない人が羨ましいもん。だってこれから最初の衝撃を味わう事ができるんだから。オイラだって記憶を消してもう一回最初っから観たい。

というわけで、オイラはこれらのシリーズを知った数年前より、ちょっと手が空いたらひたすら頭から観返すというのを繰り返しておる。マジでこれは人類全員観るべき作品。というかこの作品は絶対に歴史に残るし、おそらく50年後の人も、我々が今『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を観て「これは教科書だ!」みたいに思うのと同じような感じで観てると思う。

「ひろし、今日もボートやってるの?」

ある昼下がりの午後だ。はるちゃんが買い物から帰ってきてから開口一番こういった。

「うん」
「最近結構やってるねぇ」
「3連複狙いに切り替えてから的中率が上がってきたからねぇ。こうなるとやっぱ面白いよねぇ……ああ、やっぱこのシーンいいなぁ……」

オイラが普段使ってるPCのディスプレイには、ボートの番組表。そして、Netflixの画面が表示されていた。

「……ひろし、もしかしてボートしながら海外ドラマ観てる?」
「うん。このシーンいいんだよォ。マイクがカッコよくてさァ。あ、マイクってこのハゲたオッサンなんだけども、これ何かうちの親父に似てない?」
「どっちかにしなさいよ。どうせなら集中しなさい……!」
「いやー、いいんだよ。ボートさぁ、待ち時間長いからさぁ。オイラ別々の場の舟券とか並行して買えないし……。ほら観てこのタイムラプス。これマジで車を解体してんのかなぁ? どうやって撮影したんだろう……」

Netflixの画面で厳つい顔のハゲた白人男性が車に仕掛けられた盗聴器を探しているシーンの横で、6艇のボートが勢いよくピットを離れた。ファンファーレが鳴り響く。

「おっと、レース始まった……。5号艇が絡まないと全滅だなぁ……。どう思う?」
「わかんないわよ……!」
「枠なり進入……。3、2、1……。オッケー、スタート正常。5号艇は、ンー、いい位置だけども、どうだ。よし、上手い。5-2-1か。いいんじゃないか? そしてこちらの画面では……。マイクが盗聴器を見つけたぞ……。そんな所にあったかァ……!」
「ダブル実況……!」

こんな感じで、実はボートと映像作品というのはものすごく相性が良い事に気づいた。別に海外ドラマじゃなくてアニメでも映画でも良いんだけども、レースとレースの間の待ち時間を楽しく埋めるのに。

「スタ展とか観なさいよ……!」
「いや、観てる観てる。平行して観てるから大丈夫」
「どうなってんのよ脳みそ……!」
「いがいとマルチタスク行けるよ。はるちゃんもやってみ」
「えー……。いやよ……」
「いいからいいから。楽しいよ……」
「えー……ホントにィ……。でもわたし海外ドラマ興味ないしィ……」
「へへ……。奥さん。実はさっきHuluで『凪のお暇』を見つけたんだぜ」
「……黒木華ちゃん!?」
「そうだぜェ。黒木華ちゃんだぜェ……!」
「かわいいねぇ! かわいいねぇ! 観ようか! 観ようか──!」

夫婦揃ってテレビの前に移動し、クロームキャストを使って大画面でドラマを観る。ボートを予想して、ドラマを観て。ボートを予想して。ドラマを観て──。

パチンコやパチスロとボートレースの違いは沢山あるけども、実はこの「ながら遊び」が出来るのって、結構大きい事だと思う。これはこれで大変面白いし、限られた人生の時間を有効活用するという意味ではとても効率的だ。

ただ、勝てるかどうかというと、それは置いといてね。

【今回の収支】

収支 -8,760円
購入舟券数 16R
的中舟券数 4R
今回の的中率 25%
今回の回収率 42%

【今までの累計成績】

収支 -12,000円
購入舟券数 34R
的中舟券数 10R
今までの購入金額 30,000円
今までの回収金額 18,000円
今までの的中率 29.4%
今までの回収率 60%

目標金額まで……312,000円

 

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

人気記事

荒れるレースの条件とは。 3カド戦に企画レース?

ボートのデザインについてまとめてみたら色々と面白かった件。

年間収支大公開! 今年の振り返りと来年の抱負を。

やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE11 厳格養成所脱走事件

ナカキン流展示航走の見方を紹介します。

SGにまつわる選手の話