やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE58 スタート不可!? ピット拘留事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE58 スタート不可!? ピット拘留事件】

どうもみなさんごきげんよう、岡井です。ボートレースの駆け引き開始はピット離れから。勢いよく水面に出た選手達がそれぞれの枠を主張し、狙ったポジションの確保を目指してボートを操ります。レース自体のスタートは大時計の針が開始を示した時かもしれませんが、選手達はそれ以前にピットからのスタートにも神経を尖らせてるのです。

 

ピットからの発進シーンはレース場では直接見えない場合もありますが、中継映像などで目にする機会もあるでしょう。レース出場準備を整えた各ボートは、ピット内の出走のランプが点灯すると一斉にピットから離れます。

ピット離れをフライングした場合どうなるのかが気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はピット内のボートは係留ロックされており、ピット離れ可能状態になると電気方式でロックがはずれるようになっております。ピット離れの瞬間に選手たちが独特の前傾姿勢になって勢いをつける場面はご存じの方も多いでしょう。あのグッと力を込めて水面に滑り出していく様子はボートレース独特のシーンで印象深いものです。最初に見た時は何のための行動なのかわからず、何かの儀式かと思いましたけど。

 

■ピット離れできない!?

2020年8月8日 下関 7R

事件は下関7Rの展示航走で起こります。

展示と言えどその日の場とボートの調子を確認するうえでも重要な時間、水面は荒れてはいないものの天候が良くないこともあり、展示で走ることで最終的な感覚をつかみコンディションを整える選手も多いでしょう。

そして展示での枠主張もレースの重要な要素。必ずしも展示通りではないとはいえ、裏を返せば多くは本番も展示通りのコースに入ることになるのがボートレース。展示のピット離れも遅れをとるわけにはいかない真剣勝負です。

 

いつものように出走ランプとブザーの音に神経を集中させる選手たち。1、2、3回と等間隔で発されたブザー音を数え、ランプも「出走」の表示に。各選手いつものように勢いをつけてピットを飛び出します──

 

……はい、飛び出しました、1号艇だけ。2~6号艇はピットに留まったままです、みんなどうした、スタートだよ?

 

▲ピットに拘束されたように動かぬボート

どうやら不具合によって係留ロックが解除されず、選手たちもスタートを切れなかった模様。選手はもちろんいつものようにスタートする気で操縦しているので、思いきり体重を前面に乗せた5号艇などは勢い余って落水しそうにすらなっていました。若干もたついたものの唯一ピット離れに成功した1号艇が独走で展示航走開始とはもちろんならず仕切り直しに。1号艇選手も直後に異変に気付いて「えっ、みんなどうしたの?」みたいに所在なさげにしていたのも印象的です。

 

■予測不能回避不能の係留ロック

他艇の接触や荒れる水面を予想することはできても、係留ロックの不具合を予想できる選手は皆無でしょう。陸上なんかで考えてもクラウチングスタートを決めた直後に地面から足が離れなかったら絶対ビックリしますし、本気で好スタートを切るほど予想外の展開に怪我をしてもおかしくありません。

先の5号艇の件も含め、選手に怪我等が無くて良かったと思います。もしそのまま落水でもしていたら選手の責任ではないとはいえ、世にも珍しい動いていないボートからの落水事件として後世まで語り継がれる事件になっていた可能性もあるのですから。

 

今回のケースも珍しい事件でしたが、同時に選手が本気でレースに挑む姿勢、展示から相当な勢いでピット離れを狙っていることがわかる事件でもありました。どちらかというと練習をサボりたいと思うタイプの私は、手を抜かずに本気で取り組むボートレーサーに関心してしまった展示航走での一幕でした。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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