やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE62 スライド航法3号艇事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE62 スライド航法3号艇事件】

猿も木から落ちる、弘法も筆の誤りと言うことわざがあるように、どんな達人や経験豊富なベテランでも失敗することはあります。ボートレースで言えば本命視される1号艇の選手でも100%1着になるとは限りませんし、何百、何千回とスタートを切ってもフライングや出遅れの可能性がゼロという選手も存在しません。

とはいえボートレース上位者が集うSGで揃いも揃って失格なんてことは珍しいわけで、ましてやそれが1つの事故でなく別個で起きたことならばなおのこと珍事ですが、まぁそんなことが近年起こったわけです。

 

■波乱のスタート、そして……

2019年 3月19日 戸田 5R

この日はSGボートレースクラシックの4日目。天気は晴れ、風も波も共におだやかであり、まさに絶好のボートレース日和と言っても良いコンディションです。SGなので当然出場選手は全てA1の実力派なのですが、このレースはピット離れからコース取りで6号艇が前に出てインを主張、それを許すまいと1号艇2号艇が早々にスタートラインに向かって船首を向けるといった具合に開幕からバチバチと激しいレースを予感させます。

進入体形はインから126/345となり、大時計の針の動きに合わせて加速していくボート──

ダッシュ勢とかなり差をつけて前に出ていたスロー勢、これは早い、遠目に見ても早すぎる。

後に発表された数値では1号艇はF1.0、2号艇はF0.7といわゆる非常識なフライング。6号艇もF0.4となっており、有力選手3人がいきなりスタートで失格してしまいます。突出した1号艇に引っ張られるかたちになったのかは定かではありませんが、SGで半数の選手がフライング失格になること自体がかなりのレアケース。

とはいえレースは依然続いています。のこされた3、4、5号艇によるトップ争いは3号艇と4号艇が競った状態で2周目に突入、どちらが勝ってもおかしくないとファンが見守る中、2周1マークで4号艇が見事なツケマイを決め1艇身半ほどのリードを作ります。しかし後ろから5号艇も差を詰めてきておりまだレースはわからない状態のまま、ここで勝負が決まるかと2周2マークの旋回に入る3つのボート。

外から旋回してきた3号艇が流れてしまい届かず、やはり4号艇が抜け出したかとホームストレッチ側の直線に入る4号艇と5号艇、3号艇はまだ大きく流されて……流されて……?

 

▲流されて膨らむというレベルをはるかに超えてアウトにスライド

ガシャン!!

3号艇はホーム側スタンド前の壁にぶつかりそのまま落水。直接他艇と接触したようにも、引き波が大きくてコントロールを失ったようにも見えなかったのですが、旋回時の遠心力に引っ張られるように外へ外へと流れていった3号艇はそのまま戸田の水面に沈んでいきました。……なんで?

レース結果としては1番人気の2連単4-5で340円となり、その他3連単や3連複の舟券は不成立。決まり手は恵まれとなりました。

 

■見えない力でアウトにシュウーッ!!

このレースはスタートから半数の選手が消えるアクシデントがあったのですが、さらにもう1人が不可解なかたちで脱落するという結果になりました。特に3号艇に対しては少なくとも普通に旋回ができていれば3着での完走は間違いなかったわけで、傍目には異常が無いように見えた3号艇の不思議なスライド航法からの壁面激突には多くのファンが一体どうしたと首をかしげる展開となりました。

もちろん見た目に変化が無いだけであって、エンスト気味になっていた可能性や舵が効かない状態になっていた可能性もあります。高速で旋回したために水切り石のような状態になったのかもしれません。滑るように外へと流れていく光景は、まさに河原で投げた石が対岸に届いたような軌跡を描いていました。

冗談まじりに八百長かと声を上げる人もいましたが、そもそも3艇しか水上に存在していない状況で狙って落水する意味は無いです。まぁ、それゆえにますます不可解だとも言える出来事だったんですけど。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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