やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE63 ゆっくり圏外後退事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE63 ゆっくり圏外後退事件】

ボートレースにおいて勝負の大勢は1周1マークで決まると言われています。引き波の影響やコース取りを邪魔されない先頭が有利だという点や、機力の差がそこまで大きく出にくいこと、そしてある程度差のある状況の場合はリスクをおかして無理な1着を狙うことよりも2着3着という入賞を狙う流れになりやすい競技の性質もあります。数年に一度の勝負というならいざ知らず、毎日のように開催されるレースにおいて転覆等の失格をするよりもしっかりと入賞した方が良いという考えになるのも当然と言えるでしょう。

それは同時に上位の選手が下位に転落する状況も起こりづらいということです。ボートファンからも1マークを回った時点で先行艇と2、3艇身差が付くような場合には「形ができた」などと言われ、勝負がついたとみなされることも多いものです。つまり一度差が付けば多くの場合はその順位のまま、ボートレースという競技はゴール直前までギリギリに競り合うデッドヒートというものは滅多に起こらないのです。

 

だからこそ先行するボートがずるずると下位に後退するなんてことがあれば誰もが不可解だと思う異常事態なわけで、ともすれば八百長すら疑われてしまうかもしれません。そしてそんな異常事態が起きたのが2020年の4月だったのです。

 

■上位入賞確実!! からの……?

2020年4月24日 若松 12R

この日は一般戦、スポーツニッポン杯GW特選競争のナイター。ここまで万舟決着は無く、イン逃げが強いというかなり安定したレース模様の闘いが続いていました。12Rは2号艇が欠場のため5艇の争いとなり、大方の予想はやはり1-3や1-4の線が人気という状況でレーススタート。

スタートは正常。好スタートを切った3号艇がそのまま1マークを回り、バックストレッチに入ったところで3-1-6のかたちに。1号艇と6号艇の差は3艇身ほど開いており、1着2着は3号艇か1号艇かという状況となり2周目に入ってさらに差は広がります。

2周2マークを回ったあたりで状況に変化が。4号艇が3番手に浮上……いや、それよりも2番手の1号艇との距離が縮まっています。ちなみにトップを走る3号艇はぶっちぎりの独走状態に、これは4号艇6号艇が速いというよりも1号艇が減速しているのでは……。

いや、2周目の時に急減速するような要素はなかったはず。そう考えていた3周目1マークで4号艇に抜かれ、2マーク旋回の時には6号艇からも迫られる状況に。

 

▲1号艇まさかの急減速

そして最終的なレース結果はなんと3-4-6となり、2周目までに2位だった舟が舟券圏外になるという少々珍しい結果に。なんというか、アクシデントで一気に抜き去れらるとかじゃなく、ゆっくり後退していって気付いた時には4着になってましたという、そんな状況でした。

 

■原因はあの時の古傷!?

舟券にからむことが確実と見られた位置からの不可解な減速、これが意図的なものだとすると八百長だなんだと大問題になりそうですが、レースを見返してみると原因は別にありそうだということがわかりました。

実は1周2マークの旋回時において、1号艇の船体後部に6号艇が接触していました。その時には順位変動もなく、むしろ2周目でも快調にとばす1号艇が差を広げるくらいだったので誰も気にしていなかったのですが、やはりボートも精密機械。接触してペラがおかしくなったり、水をもらってエンストなんてことは珍しくないので、時間差で影響が表面化したということでしょうか。まぁ意図的に減速したとするとかなり不自然過ですし、最終的に抜かれたとはいえ6号艇との差はわずか0.1秒だったので、むしろ不調を感じながら最後まであきらめずに粘ったという方が正しそうです。

 

ただ不思議なことにボートって減速してる事がわかりづらいんですよ、追いつかれた時にはじめて気付くくらいで、他艇との比較がない場合なんて下手すると最後まで気付かないかもしれません。レース中に選手達がしめしを合わせて徐々に減速し、5分かけて3周するみたいなレースを仕掛けてきても時計が無ければファンは気付かないのではとすら思います。

そんなことを友人に話していたら気付かないのはオマエだけだよと言われてしまいました、私は今日も節穴の目でボートレースを見守ります。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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