めおと舟 その65『オカイが来たりて寿司握る(後編)』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
妻の言葉から唐突に始まった夫婦共通の趣味・ボートレース。当初の目的である引っ越しを終え、次なる目標は『楽しみながら勝つ事』。夫婦合算で年間収支プラス30万円を目指し始めた。タイムリミットは年末。果たして結果は……?

承前。前編についてはこちら!

10月4日。江戸川のデイリースポーツ杯をサクッと外した我々は、その後に浜名湖のかんざんじ温泉観光協会会長杯、続けて再び江戸川と3R続けて的中ナシの結果を叩き出した。

「当たらないねぇ……」

はるちゃんがスパークリングワインを飲みながら言う。

「どうする? もう一戦行っとく?」
「んー、お酒飲んでるし、わたしはもういいかなぁ」

はるちゃんが首を降る。

「そうですよ。あしのさん前に酒飲んでボートやったらダメって自分で書いてましたよ」

ナナテイ編集長、オカイさんの言葉に自分の書いた内容を思い出そうとしたけども、何も出てこなかった。

「そうだっけ? 書いてた? はるちゃん覚えてる?」
「うん。書いてたよ」
「ンー。覚えてないや。へへ。じゃあいいや。オイラだけもう一戦やーろおっと。イエーイ」
「あしのくんギャンブル好きだよなー」

明太子をつまみつつ、ワイルドさんが言う。

「へへ。面白いだぜーボート」
「当たったらね……」
「次なんにしようかなぁ。お。蒲郡いいじゃん。4カドの選手強いし大外の選手もマクっていきそう! これは付くぜー。いいのはるちゃん? 買わなくていいの?」
「わたしはいいかなぁー……。でも確かに面白そうなレースね」

【10/4 蒲郡 ガマゴリうどん杯】

どうみてもレース展開の鍵になるのは4号艇荒井選手。マクリ差しが決まれば4-6が見えるし、しくじったら1が頭でいい。二着はちょっと悩むけども2号艇富田選手は平均STが良くないしモーターも出てない。当地勝率をみてもとても買う気にはなれないので、1-3=4。というか3連複でもいいな。

スタートが早い6号艇佐藤選手の頭もちょっと考えたけども大外からマクるにしても4号艇荒井選手がそうやすやすとスキを見せるとも思えない。ただ新井選手についていく展開は充分に考えられるので、4を頭で買うなら6は2着・3着に置いたほうがいい。

よし、決めたぜ。

【あしのの予想】
1=3=4 1点 1000円
4-1=6 2点 500円

「うわ、3連複に1000円も入れてる……! 酔っ払いすぎよひろし!」
「いや、これはなぁ、オイラなりに深い予想があってだなぁ……!」
「まあでも……たしかにそんなに悪くはないか……。4が来るかどうかよねこのレース」
「よし、見ようぜ見ようぜ!」

生暖かい目で見守るオカイさん。そして明太子を食べるワイルドさん。

「ちょっくら、ワイルドさんに当ててる所を見せてやんよ!」
「期待してるよー」
「さあ、始まった! ファーンファファーンファララッファーン」
「ひろしは本当にファンファーレが好きねぇ」

ピットを離れた各艇の進入は123/456。鍵になる4号艇荒井選手は挺身を目一杯引いて全速の構え。マクる気満々だ。これは心強い! しかも内側3号艇の坪内選手がわずかに凹むという4カドにとっては絶好のチャンス。もはやターンマークを見るまでもなくこの時点で4頭は確定でいい。

「よし! 4行った! 23はもうない!」

問題は2着だが、6号艇佐藤選手が引波に飲まれて失速する3号艇の外からおさえ、さらに2号艇の内側を差す。教科書通り! 大外からの綺麗なまくり差しだ。4号艇が23をハメたら絶対そうなるよねと言わんばかり! ソーセージ食ったらビール飲みたくなるのと同じくらい当たり前の展開だった。こうなると23の浮上はない。3着に滑り込むのは1号艇か5号艇になるのだけども、ここはもう内側の有利を生かした1号艇が先行。ということは……!

「取ったわコレ。いただきました!」

ビックリするとはるちゃんとオカイさん。キョトンとするワイルドさん。

「え、もう分かるの?」
「うん、ボートってもう第1ターンマークでほぼ決まるのよ。しかも今回は4-6-1と4-1-6の両面で買ってるから、ほぼ確実に取るね。変な事故が起きない限り大丈夫!」
「ゆっても全然1番人気とかじゃないわよね……。ちょっとひろし、これ結構オッズ付くんじゃない……?」
「えーっとね……。4-1-6だとちょっとショッパイね。4-6-1だったら10倍くらい付くんじゃないかな?」
「いや、10倍って事はないでしょ。4-6よ?」
「いやー、これは誰が予想しても4-6入ると思うけどなぁ……」

6艇はそのまま危なげなく周回をこなし、迎えたゴール。

「はい、4! 6! 1! おつかれさん! いただきましたァ。へへへ。まあ大したことないけどな」
「いや、ひろしこれ500円買ってるのよ?」
「え? そうだっけ? まーでも10倍行かないでしょ」
「行くってば。ほら……! オッズでた!」

「え! マジで!? 32倍も付くの!?」
「そうよ! 500円32枚よ! やった!」
「マジで……おい、マジで……? うわ、入金された。16,450円だって」
「おめでとうございます、あしのさん。めおと舟のネタができましたね……!」
「ありがとうオカイさん!」
「へぇ! 当たるんだなーボートって」
「当たるんだよー。たまにこうやってさー。当たるんだよねぇ! イエーイ!」

菩薩のような笑みを浮かべるオカイさん。そして明太子を食べるワイルドさんとハイタッチする。

「いやー! 楽しいぜ! ボートレース……! いやー、ボート当てたらまたハラ減って来たぜ……! 明太子貰っていい?」
「ん? もう無いよ?」
「……え! 全部食べたの!?」
「うん……。俺魚卵好きでさ……」
「え! あんな山盛りにあった明太子、パックまるごといったの!?」
「……うん」
「身体壊すよ!?」
「はは……!」

こういう場のボート勝負でシッカリ結果を残したのってもしかして初めてかもしれない。実に楽しかった。そして楽しすぎた結果、ガッツリ飲みすぎ、翌日はヒドい二日酔いを食らう事になった。

のだが。

「おい、はるちゃん……」
「どうしたの?」
「ちょっと、これを見てくれ……」
「ん? ボート?」
「そう。ちと今日またボートやってんだけどさ」
「二日酔いなのに良くやるわね……。寝てなさい」
「それがさ……。ちょっと、当たってんだよな……」
「え?」

「うそん。また5桁……! どうしたのひろし!」
「わかんねぇ……。あるいは寿司パワーかもしれんぞこれは」
「まあ、家で握りたてのお寿司食べるってなかなかできる事じゃないもんね……」
「オカイ寿司……。恐るべし……。あのひとボートレースで勝てない人んちに寿司握りに行く企画とかやったらいいじゃねぇかな……」
「ちょっとこの効果は検証しないとね。また来てくれないかなぁ……じゅるり」
「はるちゃんは本当に寿司が好きだなぁ……」

というわけで一ヶ月ぶりの累計結果!

【今期の収支(9/14~10/13)】

購入金額 24,200円
払戻金額 40,370円
収支 +16,170円
購入舟券数 21R
的中舟券数 7R
今期的中率 33%
今期回収率 167%

【今までの累計戦績】

購入金額 78,400円
払戻金額 77,720円
収支 -680円
舟券購入数 71R
的中舟券数 23R
今までの的中率 32% → 32%
今までの回収率 69% → 99%

目標金額まで……300,680円(※夫のみ)

夫の成績大躍進!! はるちゃんが最近勝ってるのか負けてるのか微妙な所だけども、もしかしたらトータルでプラスいけるかも? そろそろ一度トータルを出してみましょうかねェ……!

 

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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