やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE67 スタート不可!? 待機宙返り事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE67 待機宙返り事件】

ボートレースはピット離れからが勝負の始まりとも言われます。いち早くピットを出て枠を主張、スローかダッシュか、展示通りか勝負を仕掛けるかといった駆け引きもあり、位置取りによって勝負の結果が変わってくることはおおいにあります。もちろん出走前の整備なんかも重要ですが、実際に観客の前で水上に出るところからレーススタートという意識を持っている人は選手にもファンにも多いでしょう。

ただ実際にはよっぽどピット離れが遅いということでもなければ枠が大きく変わることは稀で、強引に位置取りすることもあまりありません。スタート前から激しくボートをぶつけ合うような行動をとれば下手すれば待機行動中の落水失格なんてことになりかねませんし、そうでなくても待機行動違反をとられてしまう可能性があるので、そこまでリスクを負う選手はほとんどいません。

 

ただ過去には、誰と争うわけでもなくピット離れ直後に転覆艇が出る事件がありました。それはボートレースにおけるもう一つの敵の仕業によるこんな事件です。

 

■平和島名物(?)荒れ水面

2006年3月17日 平和島 4R

この日の平和島はSG第41回総理大臣杯の二日目、激しいレースが繰り広げられるSGですが、それ以上に激しかったのが風です。それまでは強風が吹きつつもなんとかレースは続けられていたのですが、この4Rに入ったあたりから激しさを増し、記録上では風速18mの波高15cmに。それまでは強くても風速10m前後だったことを考えれば、一気に2倍近くに強くなった風が吹きつける水面となりました。

しかしここは平和島、なぜかやたらと荒れた水面でレースを決行する場(もちろん意図的に荒らしてるわけでもなんでもないんですが)としてファンに認知されているだけあって中止などしません。風の強弱などそれこそ風任せの波任せ、天気自体は晴れているし一時的な強風があれどボートが走る以上はレース続行と言わんばかりに4Rも開始されます。

 

SGに集った一流選手達、ピットアウトは問題なし、大時計の動きを考えながらも消波装置を旋回しスタート位置に。しかし実況アナウンサーが「風が非常に強くなってきています」と言うやいなや事件が起こります。

バックストレッチ側に入った直後に5号艇が波を乗り越えて船首を上げたところ、舟の腹をみせたかと思いきやそのまま見事な宙返りをみせてひっくり返りました。おそらくモロに強風を受けてしまったのでしょう、普段ならばなんでもないピットアウト直後の旋回にて転覆が出るという珍事が起こってしまいました。

 

▲こんな立ち乗りみたいなことはしていませんが……

待機行動中であり選手責任外とはいえ5号艇は失格、そして残った5艇を一旦戻して再度ピットアウトという流れに。白波が起きていたため、転覆前のボートにも水が入っていたことも要因の一つと思われますが、5号艇は泣いていいでしょう。ちなみにこの場合の失格はL0、選手責任外の出遅れという扱いになります。出遅れというか……うん……。

 

■吹きすさぶ風の中で

ボートという乗り物にとって風は大敵。ボートそのものだけでなく波への影響もあるため、強風が吹く水面で高速走行をするとちょっとしたことでバランスを崩してしまいます。向かい風の場合なんかは加速しただけで転覆の危険があると言ってもいいでしょう。

実はスタートの加速時点で強風にあおられて転覆という事件は他にもいくつかあります。ただ今回のケースは特に加速していないのにひっくり返って転覆するという、よく考えてみればただ水面に浮かんでた場合でも転覆したんじゃないかという事件でした。

いや、そんな状況でレースする選手達は本当にスゴイです。そもそも風速0mの時と18mの時を同じように進行するボートレースという競技自体がスゴイとも言えそうですが。

 

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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