やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE70 開始5秒でウィニングラン事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE70 開始5秒でウィニングラン事件】

ボートレースの勝敗は1周1マークで大勢が決まると言われており、実際に最も激しい争いがおこなわれるのも1マークの攻防でしょう。とはいえ2周目3周目の逆転も起こりますし、むしろ2着3着争いは1マーク以降の方がアツかったりもします。

レース中の選手からしても1着だから手を抜いて走ろうというような余裕はほぼ無いでしょう。2~3艇身離れていたとしても1秒でもロスすれば抜かれてしまうような世界ですし、1周1マークで大勢が決まるとはいえそこから動く可能性もあると思ってみているのがファンの心理ではないでしょうか。

 

しかし1周1マークで誰がどうみても勝負が決まったレースもありました。2着争いや3着争いも全く考慮する必要無し、もうこれ以上に決まっている展開は無いだろうというレースが。

 

■1マークの完全決着

某日 蒲郡 4R

天候、水面共に落ち着いているものの進入は235/461、1号艇が外に出るというスタートからの波乱が予感される展開です。あえて外に出た1号艇がまくりを決めるのか、インを奪った2号艇が逃げるのか。スタートはほぼ横一線、ここから注目の1マークのターンに入る。

 

ターン後、1マークを抜けた後水面を走っているのは4号艇ただ一人。トップを走る4号艇を追うボートは皆無であり、文字通りの独走態勢。

 

どうしてこうなったのか。それは1マークでインの2号艇が振り込んだ結果大きく飛沫をあげながら転覆、巻き込まれる形で他艇も次々と転覆やエンスト、そんななか唯一航行可能だった4号艇のみが抜け出したのです。4号艇もけっこう水をもらっていたように見えたのですが、運が良かったのか立ち込める白い飛沫を切り裂いて現れた4号艇はなかなかにドラマチックなシーンでした。

 

転覆や落水さえしなければどんなにゆっくり走っても1着間違いなし、文字通りライバルなどいないこの状況、悠々自適のウィニングラン一人旅からのゴールインです。そして審判長によるコールも極めてシンプルに「確定、1着4番」のみ。本来その後に続くはずの「2着○番、3着○番」部分が無いという珍しいものなりました。

▲独走態勢、はじめから最後まで独走態勢

■スピード決着の向こう側

当連載ではこれまで数々の失格事件をご紹介してきました。最も多いのはスタート事故による失格ですが、他にもレース中に転覆したりと様々な理由でレースから途中脱落する選手がいます。当然ながら失格した選手はすみやかにレースから離脱していくわけであり、状況によっては水面上に残るボートが5艇や4艇になったりもします。

わずか1ターンで完全決着となった今回のレース。その要員もライバル艇が全て失格になったからという理由であり、決まり手も「恵まれ」。一部選手の離脱どころか自分以外全部離脱という状況になった4号艇選手の心境はいかなるものだったのでしょうか。

 

そして舟券に関しては、失格艇が出た時によく耳にするアナウンスとして「成立しない舟券があります、お手持ちの舟券は最後まで大切にお持ちください」というものがありますが、このレースでは「大切に!! 大切にお持ちください!!」と力強く強調されていました。

スタート事故ならば該当の舟券は返還されます。そして万が一全艇失格となれば全ての舟券が返還です。しかし今回のように4号艇の単勝のみが成立するといった珍事の場合は、舟券を買ってレース開始5秒後にはもう絶対に勝ちが無くなった人達がいるのです。

素早いレース展開や1マークの熱い攻防がボートの魅力という人たちも、さすがにこれは早すぎるだろという気持ちになったのではないでしょうか。そしてこのレース唯一配当を受け取れる4号艇の単勝を買っていた人は、ある意味万舟よりとるのが難しいという貴重な舟券の所持者ということになるでしょう。大量返還となったレース場としてはたまったもんじゃないとは思いますが。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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