やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE72 動くターンマーク事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE72 動くターンマーク事件】

どこのレース場にも一年を通して存在するものの一つにターンーマークがあります。当ナナテイのマスコットであるタンマ君のモデルもターンマークですが、その役割はレースコースのインを示す目印ブイであり、ここに張り付くように旋回できるのが良いコーナリングとも言われています。その見た目は赤白のソフトクリームともうんことも言われていますが、ともかくインパクトはありますし、選手の多くが旋回時の目安として視覚に入れているものでしょう。

そんなボートレースの隠れた象徴とも言えるターンマーク。実はしっかりと規格も決まっており高さ約110cm、幅約100cmのゴム製。ただ水面に浮いているわけではなくフックが付いていて、アンカーを止めて固定されています。そうでなければ流されてしまいますし、コースの形状が変わってしまいます。ゴム製ながらもしっかりとボートを導き、水面をキープし続けるタフな奴なのです。

 

このように場所が変わってしまっては困るターンマークですが、いつの間にか大きく移動する事件が起こったことがあります。ターンマークが動いた水面なんてレースになるのか、中止になるのではと思われるかもしれませんが、レースにならないから動いたというかなんというか、まぁなんとも変わった事件があったわけです。

 

■怪奇ターンマーク

ある日のボートレース若松1Rの終わり。その風景である1マーク、本来であれば消波装置の先の定位置にいるはずの赤と白のあいつがいません。ちょっとお出かけするターンマークと言えばなにやらメルヘンチックな世界かもしれませんが、本来そこにあるべきターンマークが動力も無しに動いたとなればまぁまぁな怪奇現象ですし、捨てたはずの日本人形がいつの間にか居間に戻ってきたみたいな怖さもあります。なにより勝手に動かれては旋回時の目印が無くなるためレース関係者一同が困ってしまいます。

付近を探すと消波装置の向こう、完全にバックストレッチ側に入ってぷかぷかと漂うターンマークの姿が、なぜこんなところに。仮にこの場所を基準として最インを突こうと思ったら消波装置を乗り越えるワイルドレーシングに挑戦するしかありません、そんなコース設定があってたまるかと思っていると、案の定事情があっての状況でした。

▲ターンマークが勝手にどこか行った……というわけでもありません

実は直前に開催されて1R1周1マークにて、最インを突いた3号艇を差そうとキツめにインを狙った2号艇でしたが、狙い過ぎたかターンマークに衝突、勢いのあるボートはそのまま乗り上げるように弾んでそのまま転覆。それだけならまだしも、バックストレッチ側に少し弾き出されたターンマークに4号艇がダメ押しの衝突。複数のボートがからむアクシデントが起こりました。

そして救助艇が出動したわけですが、作業をおこなう救助艇をみていると、水面には転覆したボートと選手、そして連続突撃によって定位置からはるか離れ所在なく漂うターンマークがあったのです。まくりや差しを狙った結果、決まり手が押し出しになってしまったという受難の日だったのかもしれません。

 

■がんばれタンマ君

実はターンマークのあの形は舳先にひっかかりづらく、水面で安定して浮かびやすいようにというちゃんとした理由があります。そもそも昔は現在の形ではなくタイヤを浮かべたりしていたようなのですが、もしも接触時にビクともしないような固定をしてしまうと万が一の衝突時に選手が怪我をしてしまう危険もありますし、安全性や視認性を考慮した結果現在の形になったのです。

移動しないのが原則ではありますが、選手思いのターンマークは安全第一のためにあの形となり、レースを守っていると考えることもできるのではないでしょうか。とはいえ前述の若松のレースのように、本来あり得ない場所に出現したターンマークに完走を阻まれた4号艇だけは納得できないかもしれません。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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