めおと舟 その74『2020年しめくくり!大勝負に挑むぞ その3』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
妻の言葉から唐突に始まった夫婦共通の趣味・ボートレース。当初の目的である引っ越しを終え、次なる目標は『楽しみながら勝つ事』。夫婦合算で年間収支プラス30万円を目指し始めた。タイムリミットは年末。果たして結果は……?

【今までの累計戦績(2020年7月~)】

購入金額 124,800円
払戻金額 118,450円
収支 -6,350円
舟券購入数 123R
的中舟券数 43R
今までの的中率 35%
今までの回収率 95%

ボートレースに詳しくなる……というのは取りも直さず「選手を知る」事らしい。モーターやボートや場などに関する知識をハードウェア的な部分だとすると、それを駆るレーサーはまさしくソフトウェア。ハードのアップデートはそんなに頻繁じゃないけど、ソフトは日進月歩で進化したり仕様が変わったりするわけで、それを知って知り続けるというのは、ある程度スキモノじゃないとついて行けないのは確か。

じゃあその「選手を知る」のにはどうすれば良いのかというと、これは単純に「有名な選手」を軸に覚えていくのが一番手っ取り早い。ボートレースは買う側からすればギャンブルだけども、レーサーからすると真っ向勝負なわけで。その「知名度」はおもいっきり「強さ」に比例してると思われる。

んでは「強さ」のものさしはなんだろう。

局地的な、たとえば場ごとの勝率だってあるだろうし特定の相手との対人成績、コース別の連対率とか指標は色々あるけども、やっぱ総合すると「賞金額」だろう。

つまり、有名な選手は獲得賞金額が高いのだ。

踏まえて。

地球上の誰かが思いました。……賞金額上位の選手ばっか集めてガチで戦わせたらどうなるんだろうと。そんなボート界における天下一武道会のようなドリーム・レース。それが毎年12月のこの時期に開催される「ボートレースグランプリ(シリーズ)」(旧名称:賞金王決定戦競走)」だ!

いやー、オイラもボート始めて一年半ぐらいになるけども、グランプリを体験するのはこれで二回目。去年のグランプリは「オイラにはまだ早い」みたいな感じで完全にスルーしてたので、実質今年が初投票になる。というかしっかりSGの予想をするのがそもそも二戦目(前回はダービー)。

んでだ。この連載の現在の目標は「30万の勝利を目指す」というものなのだけども、年内にというタイムリミットがある関係上、勝負はもう完全にココなわけで。しかもSGは人気が分散するんでオッズが高めになりやすいというのもダービーでわかった事だし、ここはもう勢い良く! グワッと行くしかねェ!

「……と思うんだけども、いかがか。はるちゃん。全力で行かねぇか」
「ンー。わたしパス」
「なんで……?」
「SG難しいもん。やるなら最終日のグランプリだけがいいな」
「あーマジかァ……」
「あんまり負けないようにね……?」
「いやだ! オイラは今回リスクを取る! ビッグ・リターンを狙う!」
「年末お金無くなっちゃうよ……?」
「知らん! その時はその時! ウオオオオ!」
「やーん。ひろしが馬鹿になった……!」

というわけでグランプリグランプリ言いつつも今回はシリーズ初日のレースにチャレンジ。なんせこの記事の締め切りが掲載の一週間前なので、実質初日しか予想できないからね! いや全然だいじょうぶ。今回でズバっと30万当ててやる。

【12/15 平和島 第35回グランプリシリーズ初日 1R】

「いやもうこれムズ……」
「だからムズかしいんだってSG。予想の取っ掛かりないでしょう……」
「ンーなんかあるべよ。例えば平和島ということを考えて……差し水面。1枠は外そう」
「またそんな曖昧な……」
「いや! 30万狙うにはある程度外枠から買わんとだめだし、平和島だったら2枠を切るのすらアリじゃない? 十分現実的だと思う」
「頭誰にするのよさ」
「そりゃもう、6枠さ」
「トホホ……絶対ムリよそれ……」
「いや、グランプリ選出選手ぞ? 何が起きるか分からんからな。場の特性も味方してるし、ぶっこみどころだろこれは……! しゃ! 決めた!」

【夫の予想】
6-345-345 6点 各500円
1-46 2点 各500円

「うわ、ひろしイモ引いてる! 1頭の2連単買ってる!」
「そこはもう、リスクヘッジで……」
「ブレてる……!」

ちなみに充分ありえる6枠からの外側流し。オッズは一番可能性が高そうな6-3-4で116倍。6-4-3で139倍。5が絡むと6-5-3で406倍。全部500円いってるので一撃20万ゲットだ。

「いやこれ、冗談抜きでイケそうな気がするんだよね」
「まあ無くはないけどさぁ……。合計いくら買ったの?」
「4,000円かな」
「ホントだったらそれでロティサリーチキン行けるんだからね!?」
「いやいやいや。当てるから。待ってて。さあレースが始まるぞ……!」

進入は枠なり123/456。5号艇萩原選手が若干前方にかまえて46が目一杯後方からのやや変則的な加速開始だ。6枠の大まくりに期待するオイラとしてはあんまり変な隊形でラインを切るのは勘弁なのだけども、なんとトップスタートは最後方から飛び出した6号艇山口剛選手だった。

「ウォイきたぞ! ほら!」
「うわ、差したわね。あら、1号艇と2号艇が遅れてる」
「な!? ほら! ハズして正解だろ!?」

ターンマークを回った時点で上位が356号艇。やや遅れて4号艇。微妙な差で3号艇がトップだが最内は6号艇だ! 全然行ける。横目で6-5-3のオッズを見る。406倍。20万である。

「うおおお! 頼むぞ山口選手! ハメてくれ3号艇を! そして3号艇佐藤選手、あんまり遅れない程度に引き波にハマって!」

オイラの願いが届いたのか、一周目第2ターンマーク直前で6号艇山口選手が、激しく競り合う3号艇佐藤選手に仕掛ける為のマイシロを確保するため、アウト側に舳先を振る。外側から赤キャップの舟の先っちょに波を被せる事ができれば……!

「あ。4号艇の舳先と衝突した」
「……失速したわね」
「ウソん。終わり?」
「終わりね……」
「いや、めっちゃいい感じじゃなかった?」
「うん。いい感じだったわね」
「オイラの二十万円は?」
「ないないなったよ」
「ないない?」
「うん」

 

【結果】

「0.6秒差……」
「まー、衝突なかったら行けたかもね」
「オイラの20万円は?」
「ないないよ」
「ないない?」
「うん」

これめっちゃ惜しかった。途中まで半分くらい「取った?」と思ってたし、小さな衝突があったとはいえギリギリまで競ってたんで手に汗握りまくり。超面白かった。けど4000円スッた。

「ひろし、気が済んだ? これで終わる?」
「いや、終わらんよ。まだこれからよ」
「次のレースやるの?」
「いや、次は12レースいく」
「最終……。なんで?」
「なぜって……? 松井選手が出るからだよ……!」

そう。松井選手。オイラが生涯で唯一ゲットした万舟は、確か(うろおぼえ)松井選手が一着だったハズ。そう。松井選手はオイラにとって幸運の象徴なのである。

「御年51歳で賞金王チャレンジ! ロマンスグレーのヒゲダンディぞ! しかも12Rは4枠! これはもう平和島でいうところの1枠みたいなもんよ!」
「まー1枠じゃないけども、言ってる事は分からないでもないわね」
「だろ? オイラは今回、12Rで30万取ろうと思います!」

【12/15 平和島 第35回グランプリシリーズ初日 12R】

【夫の予想】
2-345-345 6点 各500円
4-235-235 6点 各500円

「おりゃ、12点! 6000円じゃい」
「お馬鹿! 使いすぎ!」
「いやーでもこれはアツいぜ。松井選手頭はどれが来ても万舟! まくり差しが決まった場合にありえる4-5からのオッズでも軒並み300倍超えだぜ! ちょい薄めだけどももし4-3-2だったら700倍。つまり35万! 目標達成だ! うひょう!」
「それはつまり来ないって事よ?」
「来る! 松井選手なら何とかしてくれる!」
「てかこれは1はハズせない気がするなぁ……。スタートめちゃくちゃ早いわよ菊地選手」
「大丈夫! 平和島だから! 差し水面! さあ始まるぜレース! いーけいッけ松井! 松井! フォウフォウ! さースタート!」

レース開始。進入隊形は123/456。1Rとは逆に5号艇がちょっと引いて46が出る形だ。きれいに並んだ状態でスタート。トップを切ったのは僅かに3号艇だ。そのままの勢いでターンマークを回る赤キャップ。

「だめだ! 松井選手3番手!」
「あー、ほらー、1号艇が2着につけてるー」
「大丈夫! まだわからん! ほら、一瞬松井選手が2着に並んだよ!」
「うわ、ホントだ。凄い執念……!」
「な! やっぱSGスゲーな! これツケマイみたいな感じでハメれば1号艇が3連外に落ちるのもあるよ。だからまだ分からん……!」
「そういってる間にめちゃくちゃ離されてるけど……」
「なッ!? ああ……だめだこれは……。2艇身くらい差がついてる……」
「えーと……3-1-4か。ンー。どっちにしろだめだったわね」

【結果】

オッズは73倍。そもそも一着を外してるんでカスりもしてないけど、1レースに6,000円入れるというのは個人的にはデカい勝負だったんで非常に悔しかった。

「ひろし今日いくら使ったの?」
「10,000円……」
「焼き肉行けたじゃないの! こらッ! どうせやるなら勝ちなさい!」
「勝とうとしたんだよう……。でも微妙に惜しかったじゃないか……」
「惜しいもへったくれもありません!」

30万を狙って負けを増やす。まあデカく勝とうとおもったらデカく負けるのは当たり前なのだけども、ここまできたらもはやコンコルド錯誤が発動する。つまり、意地でも30万いったる。次回! ボートレースグランプリにて再挑戦! デッドオアライブ! ゴー!

【今期の収支(12/10~12/16)】

購入金額 10,000円
払戻金額 0円
収支 10,000円
購入舟券数 2R
的中舟券数 0R
今期的中率 0%
今期回収率 0%

【今までの累計戦績(2020年7月~)」】

購入金額 134,800円
払戻金額 118,450円
収支 -16,350円
舟券購入数 125R
的中舟券数 43R
今までの的中率 35% → 34%(↓)
今までの回収率 95% → 88%(↓)

……回収率が90パー切りました。

 

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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