めおと舟 その75『2020年しめくくり!大勝負に挑むぞ その4』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
妻の言葉から唐突に始まった夫婦共通の趣味・ボートレース。当初の目的である引っ越しを終え、次なる目標は『楽しみながら勝つ事』。夫婦合算で年間収支プラス30万円を目指し始めた。タイムリミットは年末。果たして結果は……?

【今までの累計戦績(2020年7月~)】

購入金額 134,800円
払戻金額 118,450円
収支 -16,350円
舟券購入数 125R
的中舟券数 43R
今までの的中率 34%
今までの回収率 88%

……さあ年末も年末! いよいよ2020年ラストの週だ! コレ書いてるのまだクリスマス前なんだけども、とりあえず年内掲載はコレが最後かな? 勝負自体はあと一週あるけどな。

さて先日より思い出したように年間収支+30万円を目指すぜみたいな感じでやっとりますが、現在の所は一気に負債が増えて-16,350円。的中率は34%、回収率は88%と実に平凡な結果になってます。3週間で一気に下がった感じだけども、これは「オッズ狙い」に切り替えた結果ですな。デカく当てたいのでデカイ所に張る。当たればリターンがデカイんで跳ねるけど、それまでは当然的中率・回収率は下がり続けるハズなのである程度想定の範囲かもしれん。とりあえず当てよう当てよう。

今週の狙いはもう完全に決まってて、もはや説明の必要もないくらい「ボートレースグランプリ」だよねと。シリーズ最終日である12/20。その最終レースがいわゆる「グランプリ」で、たぶんだけど一年で最もボートレース場の収益が出る日だと思われます。

んでこの日は朝からはるちゃんと二人でYouTubeでいろんな人の予想を見つつチャレンジしておったのだけども──。

「ひろし、1レース目からいくでしょ?」
「いや、オイラ買い目を絞って一撃必殺で行きたいから、これ! っていうレース来るまで買わない」
「あら! 珍しい」
「ふふん。大人になったのさ」
「じゃあわたしはわたしでぼちぼち買わせて頂きます……」
「うむ。頑張れ……!」
「うん。ひろし、体調大丈夫?」
「頭痛い」

私事で申し訳ないけども、オイラこの週からちょっと頭痛が出ていまして、あんまり早い時間から頭を使いたく無かったというのがある。午前中の早い時間からお昼過ぎくらいまできっかり同じ時間にすげー痛くなる感じ。いわゆる群発頭痛というやつだと思うんだけども結構前から定期的にあるしすぐ治るんで病院には行ったことがなく。従って診断された事もない。たぶんだ。だぶん群発なんとか。

グランプリ当日も悶絶しながら暫く耐え──その間にはるちゃんははるちゃんで唸ってる声がキッチンから聞こえ。まあこっちは痛みとかは関係なくてただ予想に困ってるだけなんだけども。

「んー。1はハズしたいなぁ……。これどうかな。5かなぁ……。どうおもう?」
「……?」
「次のレース。1ハズそうかなぁ……」
「わからない……。頭痛い……」
「ねぇ、どうしようかなコレ」
「分からないよう……。頭痛いよう……」

【12/20 第35回グランプリシリーズ最終日 7R】

「これ桐生選手だよねぇ……」

独り言をつぶやきながら、Chromecastで飛ばしたYouTubeの予想チャンネルをテレビで見つつ、タブレットで番組表を確認してスマホでオッズをチェックしている。七面六臂。人類が生み出したあらゆるテクノロジーを使いつつ、うんうんうなってボートを買う。凄いのかすごくないのかよく分からんが、兎に角はるちゃんは久々にボートに燃えておった。

「すまんはるちゃん……。オイラは今力になれない……。もうちょっとしたら痛みが引くと思うんで待ってて……」
「うん。大丈夫。寝てて……。えーと……桐生選手の場合どれが来ても万舟だから……これは狙ったほうがいいわよね……。平和島だし向かい風だし、全然ありか」

ぶつぶつとつぶやきながら回目を絞る。やがて「うん」と頷いてタブレットのカバーをパタンと閉じた。

「よし、決めた!」

【妻の予想】
5-123-1236 9点 100円
1-5-23 2点 200円

「5号艇桐生選手からのはどれが来ても万舟。6絡みだとほぼ500倍レベルなんで100円でOK。萩原選手のイン逃げパターンも1-5からで、こっちはガミったらやだから200円! 我ながら完璧ね」
「もっと買えばいいのに……」
「ううん。全力出すのは最終レースだからね。ここは軍資金を稼がせて頂きます!」
「なるほど……」

痛みに顔をしかめつつ上半身を起こしてコーヒーを飲む。すこしだけ頭痛が和らぐ気がした。そのままベッドサイドのテレビにレース情報を飛ばし、横になった姿勢のまま眺める。さあ、レース開始だ。

「進入は枠なりの3対3だな……」
「これ、4号艇の瓜生選手が遅れてくれたらすっごい良いんだけどなぁ」
「いやースタートはキレイっしょー流石に。グランプリぞ」
「そうよねェ……」
「さあスタート……。握れ握れィ。みんながんばれィ」
「ひろし、自分が買って無い時は適当に応援するわよねぇ」
「へへ……。お。あれ? 4号艇すこし遅れてるぜ」
「あ、ホントだ! うっそ、大まくりチャンスじゃないの」
「イケるか……!? いや、あー、3号艇坪井選手が膨らんだァ! マクリ失敗!」
「もー……。坪井選手……」
「ツヴォーイ! ツヴォーイ! ねぇねぇ、なんかツボイって名前、ジャーマンメタルっぽくない?」
「……寝ときなさいひろし」

一時は5着辺りまで落ちた5号艇桐生選手。この時点ではるちゃんの購入舟券の的中は無いんだけども、ここから我々はトップレーサーたちが織りなす水上のドラマを目撃する。1週目第2ターンマーク。まず1号艇が危なげなく抜け出したあと、外側から一気に船先を振って5号艇が美しいアウト・イン・アウトを決めた結果、1号艇以外の5艇が全員一直線に並んでターンを決めるという、非常に珍しい形になった。

「うわ、何だこれ。珍しい!」
「5艇で2着争いしてるよ!」
「おい、イン側は5号艇だぜ? これ1-5決まるんじゃ?」
「!!?」
「うわ、来たよ。1-5……。あ、3着これ2だわ。取ってるよはる」
「え、わたし買ってるっけ……。あ、おさえで買ってた……」
「よしステーイ……ステーイ……そのまま……はい! ゴール! おめでとう!」
「42.3倍! わわ! わたし200円買ってる!」
「(笑)」

【妻の結果】
1-5-2 200円 的中 8460円
収支 +7160円

「いやー、まさか5着争いから2着まで伸びるとは……。すげえな桐生選手」
「ね! 面白かったなぁ今のレース」
「ちょっとリプレイ見ようぜリプレイ……」
「うん!」

と、この辺ですっかりオイラの体調も回復。コーヒーを飲みながらキッチンテーブルにて落ち着くや、タブレットで番組表を見ながら予想を開始した。狙うは10Rと12R。

「ひろしどのレース買うの?」
「オイラもう決めてる。10Rと12R」
「10R……? ああ、毒島選手出るんだ」
「てか全員好きなレーサーなんで、何気に神レースなんだよねこれ。オイラ的に」

【12/20 第35回グランプリシリーズ最終日 10R】

「これ、ぶす君で決まりよね」
「そこはたぶん決まると思うけど、2着が何気に難しいんだよなこれ。ぶっちゃけどれが来てもおかしくねぇ気がする」
「予想放棄!」
「な。これむずいなぁ……。一杯買っていいなら転覆したばっかの深谷選手だけ抜いて1-2345-2345とかで買いたいよね。絶対ガミるけど」
「ぶす君からだとオッズ伸びないわよねぇこれは……」
「そう。だから書い目を絞って一気にぶち込みたいんだけども……」

悩みに悩んだ末、出した答えがこちら。

【夫の予想】
1-35-245 6点 各1000円(1-3-4のみ500円)

「うわ、菊地選手の2着外してる……!」
「うん。菊地選手がきちゃうとオッズが足りんのじゃ。3着に来てくれるとありがてぇ。で、2着はもうこれ本命は5号艇の吉川選手じゃ。1-5-4とか来てくれると70倍とか? だから一気に7万円ゲット。最終レースの買い目がちょっと増えちゃう」
「いやー、菊地選手外しちゃダメよこれは……。1-2-3とかあからさまに来そうだけど」
「イノキは今回オッズがゴミクズだぜ。SGで7倍とかリスクしかないんで買う意味がねぇ……!」
「えー、じゃあわたし……どうしようかな。ちょっと点数絞ろう……」
「今はるちゃん浮いてる?」
「うん。さっき当てたのが効いててまだマイナスにはなってないね……。じゃあこうしよう」

【妻の予想】
1-2-345 3点 各300円

「あくまで遊びね。遊び……」
「いやーでもちょうどいいんじゃ? 1-2-5とか地味に20倍あるから6,000円なるし。まあたぶん1-5-2来るけどな」

やがてしばしのち、レース開始時刻。さあ、最終レースに向けてはずみを付けたい10R。厳かなるファンファーレの旋律にあわせて、今スタートだ!

「6号艇やっぱスタートおっそい……!」
「転覆の影響モロだよなぁ……。可愛そうに」
「イン側としてはちょっと安心材料なるわねこれは。あー、ぶす君余裕の逃げ態勢。これは1着はもう決まりね」
「そりゃもう毒島選手で間違いはないけど、2着よ問題は」
「白井選手と菊地選手が競ってる……。いやー、これどっちだ」

奇しくもはるちゃんとオイラで買い目が完全にズレてるので菊地選手がくればはるちゃん激アツ。白井選手でオイラが激アツとなる。

「1-3でもいいや。あんまり利益でねぇけど……。吉川選手も微妙に頑張ってるんだけどなぁ……。ちと2着はキツいか……。いやもうこの際いいよ1-3-5こい!」
「いや! 菊地選手……! あ!」

2周目第2ターンマーク。周回中に3号艇と4号艇が激しく接触するというちょっとしたアクシデントが発生した。結果、3号艇と4号艇は大きく遅れる。これにて2着争いは2号艇菊地選手に軍配が上がった。残るは3着争い。この時点でオイラの当りは消えたが──。

「うわ、わたしもうこれ当りだ。6号艇ないし。3・5どっちが来ても取った!」
「まじで……? うわ、調子いいなぁオイ……」
「オッズが激弱だから3やめて……。お願いします吉川選手……!」
「うわ、1-2-3は7倍かぁ。ショッパイなぁ……。1-2-5も20.1倍。全然違うな!」
「そう。大違いなのよ……。ちょっと吉川選手お願いします! あ! 跳ねた! 3号艇跳ねた! 来た! これ貰ったかも!」
「おお! ほんまや。確定やんけ……! 1-2-5!」
「やった! 300円! もっと買っとけば良かった!」
「(笑)」

【結果】
夫……当り無し
妻……1-2-5 300円 的中 6,020円 収支 +5,120円

「おお、地味にデカイな!」
「ね。良かった良かった……。ありがとうございますありがとうございます……」
「さあ、11Rはちょっと飛ばして、12R。グランプリの予想すっぞ!」
「うん! 全力でいこう!」

【12/20 第35回グランプリシリーズ最終日 12R】

「さあ一年の総決算! グランプリだ!」
「イエーイ!」
「ここは全力でいくぞ! 1着? 峰選手!」
「ミートゥ! わたしも峰選手買う!」
「2着……? 松井選手でしょうが!」
「え……? 寺田選手でしょう……?」
「松井選手!」
「寺田選手!」

はい、今回我々は買い目を3点までに絞る方向で戦いました。で、さっきからオイラが松井選手松井選手言ってるのはネタでもなんでもなくガチでして。もう今回は1-6-234と。これでいこうと。的中率とオッズのバランス考えると普通に超アリ。6枠の松井選手というだけでシブだし。これはイケる! 購入金額は本来ならもうちょい行きたかったんだけども、本日当りナシが響いて余力が4,500円しかなかったんでこんな感じ。10R当ててたらもう1桁行けてたハズ。

【夫の予想】
1-6-2 2,000円
1-6-3 1,500円
1-6-4 1,000円

どれも普通に有り得るけども、例えば1-6-3が来てくれると寺田選手絡みとて54倍。81,000円のお持ち帰りとなる。1-6-2だと129,000円。最終週にチャレンジできる勝負の幅がめちゃ広がる。

【妻の予想】
1-23-236 6点 各500円

オイラが松井選手松井選手言ってたらはるちゃんが3着にブチ込んだパターンがこれ。本来は1-23-23で攻める予定だったとの事。この場合一番高いのが1-2-6の28倍。寺田選手抜きなんでもうちょっと行っても良さそうなんだけども、意外と低オッズ。というか峰選手の人気が突出しすぎてて、1を頭にした時のオッズが軒並み低い。

「これ峰選手来なかったら凄い事なりそうだなぁ」
「パッとみた感じ、三連に峰選手が絡まない組み合わせは全部2万舟とかになってるわね」
「恐るべしだなぁ……」

発気良い! スタートだ。年に一度のお祭りレース。人気を極めしボートの鬼たちによる地獄のカーニバルだ! 進入隊形は1236/45。松井選手の存在感がまたアップ。これはあるぞ!

「3……2……1……入った! 峰選手僅かにリード。松井選手悪くない!」
「接戦!」
「ターンマーク……抜け出したのは……オイキタこれ! 1-6-2だ!」

 

「うわ、すげえひろし! ビタだ! 幾ら買ってる?」
「2000円!」
「えー! 当てて! それ当てて!」

その後も迫る寺田選手の追撃をギリギリで交わしつつ、1-6の隊形のままレースは進行。しかし、2週目で僅かにリードを奪われ松井選手は3着に降格する。が、その差は僅かだしイン側は以前松井選手が死守している。3週目で抜き返す目は充分にあったし、そうなると1-6-3で8万円ゲットだ。

「これイケルぞはるちゃん!」
「とって! 焼き肉食べさせて!」
「おう! マカシェーイ!! 松井さんオナシャス!!」

2周目2マーク。寺田選手との読み合いの末、ギリギリで先に舞った松井選手は、ターンマークに衝突しそうになりハンドルを僅かに離した(ように見えた)。マイシロの不足だ。そのすきを突いて一気に抜き去る寺田選手。ギリギリで保っていた均衡が崩れた瞬間だった。のこり一周。何が起きるかわからないとはいえ、峰=寺田ラインに割り込むのはいくら歴戦のA1選手といえどもそうそうできることではなく。

 

【結果】
夫……当たりなし
妻……1-3-6 500円 的中 9,500円 収支 +6,500円

「ンガー! 惜しかった……惜しかったよう……松井選手惜しかった……」
「いやー、いい勝負だったわね! これは面白かった……!」
「てかはるちゃん楽しそうだな……」
「わたしすごくない? 今日結構当てたわよ」
「えーと……収支が……いくら?」
「結構使った分もあるけど、16,000円くらいプラス?」
「ふぅん……。ねぇはるちゃん……」
「……なあにひろし」

──その日ははるちゃんに焼き肉をおごって貰いつつ。浅草の片隅にて。グランプリ反省会を厳かに開催しましたとさ。

 

【今期の収支(12/17~12/23)】

購入金額 10,000円
払戻金額 0円
収支 10,000円
購入舟券数 3R
的中舟券数 0R
今期的中率 0%
今期回収率 0%

【今までの累計戦績(2020年7月~)】

購入金額 144,800円
払戻金額 118,450円
収支 -26,350円
舟券購入数 127R
的中舟券数 43R
今までの的中率 34% → 33%(↓)
今までの回収率 88% → 81%(↓)

はい。とりあえずグランプリ。ボロ負けでした。これはもうしょうがない。だってオッズ狙いだったし。最後のとかも普通だったら1-3-6はおさえるんだけども、いやーだってちまちま行ったって30万は目指せんからね!

というわけで、掲載は年明けになるとはいえこれを書いてる段階ではまだ2020年ゆえ、次週は年末最後のG1狙います。何かって? フフン! クイーンズクライマックスだよ!! 荒れるぜぇ女子レースは……!

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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