やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE76 実況泣かせのだいたい池田事件

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やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE76 だいたい池田事件】

現在ボートレーサーは約1,600人いると言われており、それぞれ人柄も得意戦法も異なる個性豊かな選手達が活躍しています。有名選手になるとその特徴になぞらえたキャッチコピーや愛称が付けられたり、その名前が既に個性になっていたりもしますし、ファンが選手名をコールするような応援がみられたりもします。

選手名をコールするのはファンだけではなく、実況アナウンサーもその一人。基本的にレース中は愛称ではなく選手登録名で呼ぶものであり、「〇号艇の〇〇」といった具体にレース模様を追っていきます。

待機行動中はゆっくりと前日レース情報や水面の状況、時には季節の話題を取り入れながら解説し、スタートを切ったボートを追う時は素早く手短に、めまぐるしく変化するレース展開を伝えます。今では動画視聴が当たり前とも言える時代であり視覚からの情報を得やすいものですが、昔はラジオ中継のみで楽しむ人が今よりも多かったこともあり、そんな中で各選手の様子やレース展開を言葉だけで素早く伝える技術の習得は相当な努力が必要だったことでしょう。

詳細なテクニックまではわかりませんが、すみやかに様子を伝えるためには使う言葉を短く、最小限にすることも求められるのではないでしょうか。秒単位で変化する展開に追いつくために、略称を使ったり接続語を省略しているなということは現在の実況を聞いていてもわかります。

しかしそんな最低限の言葉だけでは少々難しい、なんだかややこしいレースが開催されたことがあります。

 

■困惑の同キャラ(?)レース

2009年 10月30日 宮島 G3女子リーグ第11戦みやじまレディースカップ 9R

この日の宮島はレディース戦。女子選手の闘いが繰り広げられたこの日のレースも終盤にさしかかった9R、ビットアウトした選手をいつものように実況アナウンサーが紹介していきます。

──1号艇鈴木、2号艇西村、3号艇加藤、4号艇西村、5号艇鈴木、6号艇加藤

 

……? 鈴木と西村と加藤しかいません、実況がバグったのでしょうか。

番組表を確認すると確かにこの出場選手で間違いありません、バグ無しです。純粋(?)に組まれた番組で1レース内での3人苗字被りが起きたのです、鈴木西村加藤の3連複がこの時点で完成しています。

確かに鈴木や加藤といった苗字の人は多いので、日常生活でもアナタも鈴木さんなのねという状況は少なくないと思いますが、なぜこのレースでそんな状況が3組も起こったのか。番組マンが面白がって設定した疑惑も生まれます。

実況としても普段なら使える「鈴木が好走し先頭」みたいな実況は1号艇か5号艇かの判断ができず、ボート名を頭に付けるかフルネームで呼ぶという方法を取らざるを得ません。一応ボート名だけでもレース展開の説明はできるのですが、それでもやはり少々やりづらかったのではないでしょうか。このレースを組んだ番組マンは恨まれるのでは?

 

選手構成が特徴的な珍しいレースでしたが、なんとこれを上回る珍レースが開催されたことがあります。それも翌日、同じ宮島で。

 

10月31日 9R

昨日と同じ宮島の9R、前日同様に各選手が紹介されていきます。

──1号艇加藤、2号艇池田、3号艇池田、4号艇加藤、5号艇池田、6号艇池田

 

実況アナはわからんぞと思ったのでは

……悪化している。6人中4人が池田、そして残る2人も加藤被りという冗談みたいな番組が実現。ことわっておきますがこれは別に同じ苗字の人を集める企画レースではありません。実況アナウンサーも「加藤が2名池田4名の対決となりました」とまとめましたが、その心境はなんだこりゃという思いだったのではないでしょうか。ここまでくると番組マンの悪ふざけという疑惑が確信に変わります、絶対面白がって組みましたよねコレ。

 

そんななかでもしっかりと実況進行した実況アナウンサーの技術に関心しつつ、本年のボート事件簿の更新はこれで最後となります。私は先日開催されたグランプリの収支は忘れることにして新年を迎えたいと思います、それではまた来年。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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