やとわれ編集長 岡井のボート事件簿 FILE77 無限の可能性!? 神技航行事件

連載
やとわれ編集長 岡井のボート事件簿

【FILE77 神技航行事件】

ボートレースに限ったことではありませんが、モータースポーツは基本的なフォームがほぼ決まっています。それは運転席で操縦するという性質上乗り方というものがほぼ固定されているからであり、工夫の余地とすれば空気抵抗を少なくすることや重心移動のための姿勢変化程度でしょう。

これが格闘技であればファイティングポーズ、構えにバリエーションがあるものも多く、球技であってもボールを下から投げたり横から投げたりと様々。対してモータースポーツは運転席への座り方やハンドルの握り方はほぼ同じです。機械の構造が一律なので変化させる意味が薄いと言う部分も大きいのでしょうが。

漫画ならばマシンをジャンプさせたり片輪走行をしたりとアクロバティックな動きで見せ場を作ったりもしますが、現実ならばそうもいきません。と、思いきや思いきり特殊な走りをみせてくれたレースが存在します。しかもアクシデントで飛び跳ねてしまい失格というわけではなく、しっかりと完走を遂げたレースでそれは起こったのです。

 

■驚異の背面航行

2008年 1月15日 戸田 12R

事件は戸田の最終日、優勝戦で起こりました。文字通り優勝選手を決める大切なレース、進入からインを狙った主張が繰り広げられ、どの選手も勝利を狙ってスタートを決めます。1マークでまくりを決めた5号艇が半艇身ほどのリードでトップに、しかし未だそれほどの差は無くレースの行方はまだわかりません。

リードを守りたい5号艇に対し半艇身遅れの1号艇が競り合います。譲ってなるものかと一歩も退かない5号艇に食らいつく1号艇、そしてボートがぶつかる。しかし接触すると有利なのは先行する5号艇、1号艇ははじかれて後退か、それともバランスを崩しての転覆か……。

 

!?

 

いや、そのどちらでもない、なんかスゴイ体勢で走ってる!! なにコレすごい!!

なんと船体が回転して上下反転、そのまま転覆かと思いきやそのまま逆さの状態で進み、ほどなくしてさらに回転して着水という狙ってもできないようなムーブが繰り出されました。

さすがにその走行では減速は免れず、1号艇は6着ゴールとなってしまいました。しかしあれだけの動きをみせてそのまま完走というのは神技といっても良い、奇跡的な光景でした。多分狙ってもできません。

 

■可能性の舟

アクロバティック航行というものはボートではあまり見られないものだと思っていました。たとえ偶発的に起こったものだったとしても、見られないと思っていたものが実現したというこの事件にはボートの可能性を感じざるを得ません。

考えてみればボートレースというものは競技としての可能性、そして同時に舟券がみせてくれる可能性があります。あり得ないと思っていた事件が起こることもあり、来ないと思っていた組み合わせが来ることもあります。そうしたボートレースがみせてくれる様々なドラマに人は魅せられ、ボートレーサーを応援し、舟券を買うのです。

 

突然ですが当連載は今回で最終回。これまで様々な事件を紹介してきましたが、ボートを知らない人でもこんなことあるんだと興味を持っていただけるように、基本的に面白い、あるいはちょっと笑えるような事件を紹介してきたつもりです。ボートに詳しい方はあの事件はどうしたと思ったこともあるかもしれませんが、深刻な事故や笑えない事件は有名なものでも採り上げないようにしました。

勝てる、儲かるという部分にボートレースの魅力を感じている人は少なくないと思いますし、もちろんそれも大切な要素です。ただボートレースの長い歴史にはあんな白熱する名勝負が、こんな面白いレースが、そしてなんか変な現象が存在するのです。

これからも様々な事件が起こると思います、そんなレースを目撃した際には、あなたの事件簿の1ページに加え語り継いでください。それではいつかまた、どこかで。

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岡井モノ

やとわれ編集長。だいたいわかってない。 twitter→@shopping_owl

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