めおと舟 その87『クマホンからのプレゼント~謎の除菌装置~』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
夫婦揃っての趣味を持とうと始めたボートレース。2019年、2020年と連続でトータル収支マイナスを叩いた夫婦が次に目指すのは「2021年の収支をプラスにする事」。今年こそはと胸に誓いつつも、コロナ禍で巣ごもり状態の二人は他にやることもないまま、代わり映えの無い日常を送るのだった。

我が妻、はるちゃんは通販が好きである。これは多分必要に迫られて、というよりも趣味に近い。常になんか通販してるし、自宅には一日平均して二個は荷物が届く。コロナ前の生活の時はオイラが家にいてそれを受け取ってたのだけども、一人暮らしが長く、マンションにピンポンがある時はたいてい碌なことが起きないというのが本能に刷り込まれてたので、その荷受けが結構イヤだった。なんせオイラ、通販全然しない人なのである。ピンポンは大体宗教かNHKか押し売りなのだ。文字を書いてる時とか、いちいちそれで手が止まって集中が切れるのも、なんだかなぁ……。

だので一度「通販ははるちゃんが受け取れる時間を指定して!」とプンスカ怒りながら言ったことあるのだけども、コロナ期間に入ってはるちゃんがテレワークになると、必定オールタイム家にいるんでその約定も有耶無耶になった。めっちゃピンポンくる。そしてめっちゃピンポン来まくった事により、オイラの方が慣れてしまった。荷受けウェルカムである。調教完了だ。

ある日のこと。例によってピンポンが来た。

はるちゃんはお昼寝の最中だったので、オイラが荷受けを行う。化粧品か、洋服か。あるいはサプリか、ミネラルウォーターか。コーヒー豆かもしれない。配達のお兄さんが差し出した伝票に受け取りのサインをすると、小さなダンボールを渡された。差出人の部分に「テレボート」と書いてある。……なんだこれ。

 

「おい、はるちゃん、テレボートから何か来たぜ」
「……お! 当たった!」

ベッドからフンと起き上がるはるちゃん。

「何か応募したの?」
「うん。クマホンのテレボートグッズキャンペーン!
「なにそれ。そんなんあったの」
「え、ひろしにも言ったわよ。キャンペーンやってるよーって」
「へぇ……。覚えてねぇや……」
「ほら、わたしが万舟当てた時の……」
「あー! あれか!」

思い返せば2月中旬。はるちゃんは「キャンペーンに応募するために1000円分買わなきゃ」とか言いながら応募のために予想を行い、それで2万舟をブチ当てたことがあった。しかも200円。初の快勝に祝いの焼き肉を食ったものである。

「うおお、応募のために予想して万舟当てて、グッズも当たったか……」
「へへ! クマホンありがとう……ありがとう……」

なんたる豪運。これ系のプレゼントに当選したことがないオイラにしてみれば、ただ当たるだけでもゴイスーなことである。が、はるちゃんがクマホンの寵愛を受けるのはこれが初めてじゃない。彼女は初っ端にも現金を3000円ばっかしブチ当ててる。

「いやー、すげえな本当……。何が当たったん?」
「えーと、わたし何応募したっけ……」
「開けてみっか」
「うん!」

コロナ対策のため、一度ダンボールを消毒してから玄関で開梱する。ダンボールの中には当選を知らせる手紙と緩衝材。それから一回り小さなハコが入っていた。そちらも開梱する。手を洗ってから改めて眺めた。

「……なんやこれ」
「さあ……何応募したんだろうわたし……」
「あ、これ説明書ついてるぜ……えーと、なになに……【クマホンワイヤレス充電器付き除菌ケース】……だと」
「あー、そうだ。確かそれに応募したんだわたし」

「何に使うんだこれ」
「……なんだろう」
「えーと、除菌すんのかいこれ」
「そうみたい……」
「あー、わかった。これアレか? スマホとか除菌する系?」

「ああ、そうだそうだ。何かそんな感じだった。あとマスクとかの除菌に使えるんじゃない?」
「なるほど、クマホンもコロナについて考えてんだなぁ」
「ね。優しいねぇクマホン」
「うむ……。よし、じゃあクマホンに感謝の意味を込めて、ちょっとボートやっかこれ」
「お、いいねぇ!」

というわけで、久々に夫婦ふたりで同じレースを購入することにした。

【3/15 桐生 第2回清酒赤城山近藤酒造杯 3R】

※画像はボートレース公式サイトより

「これいいな。1号艇頭でもそこそこオッズつきそう」
「わたし星選手買う」
「6は来んて……。オイラは……そうだな、1-356-356とか?」
「じゃあ、わたしは6-135-135にしようっと」
「リスクたけーなァそれ……」
「じゃあプクも入れる。1=5=6とか」
「悪くねぇな……。買っちゃうかこれ」
「うん!」

【夫の予想】
1-356-356 6点 200円

【妻の予想】
6-156-156 6点 100円
1=5=6 1点 200円

コーヒー飲みながらまったり予想後、レース開始。星選手がマクりきれるかどうかだけども、オイラはここは薄いと判断。はるちゃんは穴狙いっ子なのでイケると判断した感じだ。ピックしてる選手は変わらない。進入は枠なり。

「うわ、4号艇めっちゃ遅れた!」
「一艇身くらい遅れてた!」

4カドが遅れると外枠が途端に自由になる。空いたスペースに突っ込む5号艇6号艇。星選手にとっては願ってもない状態だけども、残念ながらマクり切れず。ターンマークを最初に回ったのは1号艇だった。続いて5号艇、2号艇、そして6号艇。

「1-5はもう確定かな……? 6か2か微妙……!」
「6だったらふたりとも買ってるね。これ久々にダブルで的中くるか……?」
「やーん、3連複だわたし」
「外れるより全然いいじゃん! とりあえず星選手三位浮上たのむ!」
「お願い!」

結果

「よっし、獲った!」
「わたしも3連複! イエーイ!」
「オッズは……。やった、これ3連単34.3倍だって」
「幾ら買ったっけ?」
「200円! なので6860円だ! やったぜ!」
「ありがとうクマホン! わたしも10倍ついたー!」
「イエーイ! クマホンありがとう!!」
「へへ!」

気を良くした我々はこの日は2人して同じレースを買いまくり、しかもそこそこ当てるという珍しい経験をした。こういう場合、だいたいどっちか負けるのがデフォだ。あるいはふたりとも負ける。両方当たるのはなかなか無い。まあ細かい当たりが多いので別に大勝してるわけではないのだけども、二人して当てるとやっぱ面白いのでだらだらと続けてしまい、気づいたら夜になっていた。桐生、最終レースである。

【3/15 第2回清酒赤城山近藤酒造杯 12R】

「これは中間が強いなぁ……。3を軸にするか4を軸にするか……」
「わたし、ここは1から買おうかな……1-3からの全とか」
「堅くいくねぇ……! なるほどなぁ。じゃあオイラ、3からいこうかな。外はもう捨てるわ。3-124-124で」
「いいねぇ、どっちか当たるでしょこれは」
「オッケー! 200円オールで!」

【夫の予想】
3-124-124 6点 200円

【妻の予想】
1-3-2456 4点 200円

レース開始。進入は枠なり。各艇一斉にスタートラインを……と、明らかに外側が遅れている。5号艇と6号艇はノーチャンスだ。

「よしよしよし、いいぞいいぞ……!」
「わたし56買ってるのにい……。まあいいや、1お願い!」

トップスタートは微妙に1号艇。とはいえほぼ差はナシ。ターンマーク直前、3号艇都築選手が身を捩るようにして2号艇の前に舳先を突っ込む。強引なマクり! だがそれが上手く決まった。

「よし! 3号艇だ!」
「あー! だめだ! 1号艇遅れた! わたしオワタ!」
「大丈夫! オイラ獲るこれ! もう56ないからどれ来ても当たり!」
「え、マジで!」
「うん! スペシャルボーナスステージだよ! あとオッズだけ! もうどっち来ても当たり!」
「うわ、ホントだ! なにこれ! どれが高いのこれ!」
「えーと、たぶん3-2かな……?」

3号艇はバックストレッチで単独首位。二着を争うのは2号艇と4号艇、僅かに遅れて1号艇。どれがどの順番できてもOKだ。なんとか3着に入りたい1号艇が果敢に攻めるも逆にターンマークを大回りしてしまい6着へ。どうやら3-2で決まりそうだった。3周の熱い戦いを終え、結果は……。

「おいきた! 3-2-4! これまあまあいいぞ! ええと……、49.8倍!」
「200円入れてる?」
「うん! うわ、惜しい、5桁行かなかった! これ確定オッズ前なら結構ついてたのに!」
「でも全然いいじゃん! 9960円! ほぼ万よ!」
「ほぼ万!」
「ありがとうクマホン!」
「ありがとうクマホン! イエーイ!」

終わってみればこの日のプラスは余裕の5桁。実はこの前日にも勝ち越してるので、結果として総収支には大きな動きが出ることになった。的中率、回収率共にだ。

【今回の収支(1/1~3/16)】
購入金額 119,500円
払戻金額 93,310円
収支 -26,190円
購入舟券数 113R
的中舟券数 33R
今期的中率 26% → 29%
今期回収率 62% → 78%

的中率が急上昇中なのはメインの買い方を2連単に切り替えたからなので大したことない。それより回収率が80%目前になってるのが非常に偉いと思う。つい先日まで40%を切りそうだったのを考えると超回復と言っていい。メインを2連単にしつつ、絞れるところで3連単をベチっと当てる。これがいいようだ。

ありがとうクマホン! 目指すぜ100%超え!

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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