めおと舟 その106『相席食堂に峰選手が……!』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
夫婦揃っての趣味を持とうと始めたボートレース。2019年、2020年と連続でトータル収支マイナスを叩いた夫婦が次に目指すのは「2021年の収支をプラスにする事」。今年こそはと胸に誓いつつも、コロナ禍で巣ごもり状態の二人は他にやることもないまま、代わり映えの無い日常を送るのだった。

2021年7月某日。ボートレースファンの間に激震が走った。そう、千鳥のバラエティ番組「相席食堂」へ峰選手の出演だ!

これSNS上ですげー話題になってたのだけど放送地域が限られてるので、関東の人は「TVer」のサービスで見るしか無いが、幸いなことに件のサービスは「見逃し配信」は無料でチェックできるゆえ、大半のファンはそっちで見たと思われる。んで我々夫婦も配信開始後速攻でみたわけだが……。

「うわー! なんで単勝いってんだ!」
「うそでしょ、これオッズつかないよね」
「つかないどころかこれ、等倍返しじゃ?」
「うわァ……なんだろうこの気持ち。うわぁ」

ビールを片手にギャーギャーと騒ぎながらテレビに釘付けの我々。ちょっとこれは説明が必要かもしれんが、今回の「相席食堂」には「峰竜太」さんが二人出ていた。つまり、ボートレース選手の方の峰竜太選手と、アッコにおまかせ!の方の峰竜太さんだ。前半は峰選手による唐津探訪だったのだけど、後半はアッコ横のほうの峰さんによる「峰竜太が峰竜太に30万円ぶっこみ」という、もう字にすると何がなんだかよく分からん企画になっており、非常に面白かった。

「やっぱ等倍だよこれは! 1号艇の峰選手単勝は……なぁ」
「あー、なんかもう見てて歯がゆいねぇ!」

当日のレースはBTS児島の12レースドリーム戦。峰選手はグッドエンジン装着にて1枠スタートであった。んで、アッコ横のほうの峰さんはボートレースをほとんど知らんゆえ、軍資金の30万円を全額単勝にブチ込む。おそらくテレビ前で固唾を呑んで見守る日本全国の全てのボートレースファンは総ツッコミである。

なぜなら、オッズを見るまでもなく等倍返し(オッズ1倍)だから。

つまり、当たっても購入金額が戻ってくるだけである。ボートレースは6艇建てのレースゆえ、内枠に人気が集中するとこの「単勝の等倍返し」がよく起きる。今回なんか間違いなくそうである。

「ンー。これスタッフは何もアドバイスせんのかな?」
「いやー、分かってて自由にさせてるんじゃない? 当たってヤッターってなって実は等倍でした、でオチを付けるみたいな」
「あ、悪趣味な……!」

アッコ横のほうの峰さんは番組が用意した軍資金の30万を単勝にブチ込みつつ、なぜか自らのポケットマネーで3連単を3つ、3連複を3つ購入。5万ずつ入れてたのでこっちも合計30万だ。が、これも連単・連複で重複してる部分をハズしたらおそらくガミる。

「なんて買い方してんだーこれーー!」
「2がきたらガミるね。3枠は……わお、ぶす君だって」
「毒島選手かー! そっちもオッズ絶対低い! けど複も買ってるからギリかー?」
「複のほうがガミりそう! 無いほうがいい気がする」
「これ……どうなるんだ……とりあえず1-2きたらガミって終わりだろうな……」
「なんて分の悪い勝負を……いやあ、芸能人すげえ……」

とりあえず単勝はもう当たっても等倍だから実質価値はない。峰さん自腹の方は当たってもよっぽどじゃないとガミ濃厚という、地獄のような状況だった。千鳥の大悟は単勝のチケットをみて「この番組アホちゃうか……」と思わずクチに出して言っておりすぐさま「いやこういう場合は峰を2着にして帯なんよ!」とギャグに持っていっていたけど、本当は間違いなく「当たっても等倍じゃ!」と言いたかったんだと思う。

そして、運命のレース開始。テレビの前の我々夫婦もその展開を興味深く見てたけど、結果は1-3-4。単勝は予想通り等倍で引き分けだったけど、アッコ横のほうの峰さんが買った3連単・3連複のちょうどいいところにダブルでひっかかり、ミラクルで1.7倍ほどになって帰ってきていた。

「に、20万くらい増えた!」
「すごい! あの買い方でなぜ……!」
「やっぱ元金デカいと違うな……! すげえ……!」
「なんかわたし、資本主義の本質をみたきがする……」
「な。ド本命にデカく張るって、それだけで驚異の戦法なんだな……」

普段、多くても1枚につき1000円程度しか張らないオイラとはるちゃんにとって、1枚5万円というのは未知の領域だった。オッズゲームのいいところはパチスロやらパチンコと違い「自分で賭け金を決められる」というところなんだけど、実際にデカく勝負するとやっぱリターンもデカい。You Tubeなどでボート動画を見てるとそういうシーンもちょいちょい目撃するけど、大きく張った場合はそれでしくじって凹むのが常なので、「いやぁジャブの連打が常道っしょ」みたいに思ってたが、まさか地上波でこういう「資本力の威力」を見せつけられるとは思わなかった。

「何かすげえな。目からウロコだわ……」

ビールを飲みながら改めて計算する。もし自分がアレを500円で6枚買ってたら、リターンは750円くらいである。

「ちょっとオイラ、今後は大きく張るわ……」
「ダメッ!」

はるちゃんがニンテンドースイッチのコントローラーでオイラの肩あたりをガシガシと叩きながら言う。

「ひろしは大きく張ったらビビってめっちゃ広くするからガミる!」
「ウグッ……たしかに……」

もし自分が……と改めてシミュレーションしてみた。件のレースはこれだ。

【6/22 児島 第31回グランドチャンピオン 初日 12レース】

▲画像はボートレース公式サイトより

まず峰選手を頭にするのは確定として、2着に毒島選手、新田選手、あと松井選手は絶対に買う。もし30万ブチ込むとするなら、3着は恐らくすげー広めに買う。全である。つまり……。

【夫の予想】
1-234-23456 12点 各25000円

あくまでもシミュレーションだけども、実際に買う場合もこうする自信がある。んで結果はこれである。

的中が1-3-4の1枚。6.7倍なので167,500円。ドマイナスである。132,500円もイカれる計算になる。

「だめだ……オイラ、デカく張っても負けてた……」
「でしょう? これ100円なら1-3固定にしない? ひろし毒島選手好きだし」
「あー……してたかも……」
「3着も全はないでしょう?」
「6は買わないなぁ……」
「1-3-245……。ほら! 3点よ!」
「な……ッ。浮いてる……! 370円も浮く……!」

そう! とはるちゃんは言った。

「つまり、ひろしは軍資金が増えたら広く買う傾向があるのよ!」
「な、何ィ!」
「だから、沢山お金ある時は負けるの!」
「たしかに! 最近めちゃくちゃ仕事してるからちょっと気が大きくなってる!」
「去年わたしたち引っ越しの影響で凄い節制してたじゃない」
「してた……!」
「だからボートレースの買い目も絞ってたじゃない?」
「絞ってた……!」
「だから成績良かったのよ!」
「ンー……正解!」
「イエーイ!」

ハイタッチする我々。

「まあ、デカく賭けようにも軍資金無いんだけどな」
「ね。わたしたちは庶民の遊びを頑張りましょう。アッコ横の峰さんは貴族よ」
「だよな。一枚5万とか流石にいけないモン」
「ね。ゆるくあそびましょ……」

はい現在までの収支ッ!

【今回の収支(1/1~7/28)】
購入金額 361,300円
払戻金額 212,830円
収支 -148,470円
購入舟券数 423R
的中舟券数 89R
今期的中率 21% → 21%
今期回収率 60% → 59%

7月もケツの時点で回収率ほぼ動かず。先週から「2連単」「3連複」で大きめに(と言っても1000円くらいだけど)買ってるのが功を奏して2連単・3連複の回収率が急上昇中。今まで2連単はほぼ大穴しか狙ってなかったのもあり10%台の回収率だったけど、それが43%に。3連複も40%台から68%に向上。ただ同時に買ってる3連単が爆死してるので全体の回収率は微減となった。3連単のバカッ!

8月は引き続きこちらの戦法で特攻することとする!

 

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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