めおと舟 その113『1号艇禁止予想対決! オカイvsオイラ その1』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
夫婦揃っての趣味を持とうと始めたボートレース。2019年、2020年と連続でトータル収支マイナスを叩いた夫婦が次に目指すのは「2021年の収支をプラスにする事」。今年こそはと胸に誓いつつも、コロナ禍で巣ごもり状態の二人は他にやることもないまま、代わり映えの無い日常を送るのだった。

「オカイさん、今週のナナテイの原稿がこちらです……!」
「承ります……ふむ……」
「……どうですか?」
「うん……。今週は『ゲゲゲの女房』ですか……」
「ええ。面白いんですよアレ。今更ハマっちゃって。へへ」
「……あしのさん、ちょっといいですか?」
「なんでしょう」

ナナテイ編集長、オカイ。普段は物静かで優しい、平和を愛する土鳩のような男だけど、実は怒ると荒ぶる猛禽類へと変化する事はあまり知られていない。そしてこの『めおと舟』の連載においては、彼はその肉食獣の片鱗をときおり見せるのだ。

「……ボートレースしましょう。ちゃんと」
「や、やってるもん……!」
「あしのさん、ドラマとか映画とかの話が多すぎるんですよ……!」
「書いてるもん! ボートについても! ちょっと!」
「ちょっと……?」

怪鳥がクェーッと吠える。このやり取りはそんなに頻繁ではないものの、たまにある。筆者の書く内容に関してはオカイ氏はかなり余白を取ってくれとるので、ある程度ボートに関係した読み物であれば比較的スッと飲み込んでくれる。が、例えば全編に亘って朝ドラの話とかだとクェーッとなる(当たり前)。その辺はオイラも探り探りいっとるのだけど、あんまりやりすぎると怒られるし、そして実際にちょいちょいやりすぎて怒られる。

「えー、でもなー。ボートなー。もうさー、普通に予想したりしても、味しないじゃないですか。……ねぇ?」
「ねぇ、じゃないですよ……。そこを味がするように書くのがライターでしょうに!」
「ンー。難しいなぁ……」
「えー……そんな根本的な話……?」
「せめて何かネタになる……対決とかそういうのがあればなぁ……」

そこでふと、オイラの脳裏にある考えが浮かんだ。

「そういやオイラ、はるちゃんとは何回か対決してるけど、オカイさんと対決してないですね」
「まあ確かに。言われてみればしてないですね……」
「じゃあこうしましょう。企画です企画。これからオイラ、ナナテイライターたちと予想対決していってひとりひとりボコボコにしていきますよ」
「いやぁ、みんな忙しいしなぁ……。てかボコボコにされる方ですよあしのさん」
「フン! というわけでまずはオカイさん、戦(や)ろうぜ!」
「戦るのはいいんですが、わたしも今忙しいですし……」
「えー、じゃあいつがいいの?」
「来週の火曜とか?」
「あ、ちょうどいいじゃないですか。来週のめおと舟の締め切りに間に合うし」
「信じられないくらい行きあたりばったりですね……」

とはいえ、どうせ戦うならルールやら縛りを設けなきゃ意味ないわけで。何かいい縛りはないかなぁとバトル当日に開催予定のボートレース場を眺めた所、「びわこ」でG3の「キリンカップ2021」があるのに気づいた次第。びわこ。外枠有利と言われる場だ。しかも週間天気予報によると、当日は雨との予測が出ている。

「びわこで雨……」
「外枠ですね……」
「じゃあさ、これ、1号艇禁止ルールにしない? 雨のびわこは外枠が強い説を検証しよう!」
「えー、やですよそんな。あしのさんだけ検証してくださいよ。わたし1号艇買うんで」
「駄目だよそんな! オイラだけボコボコに負けるじゃん!」
「二人してボコボコに負けるのもイヤですよ!」
「いいじゃんもう! これで決定! ね!」
「1号艇禁止って、頭にするのを禁止ってことですか?」
「いや、もう2着以下も駄目。白いの禁止!」
「うわもう絶対無理だわ……」
「でも面白そうじゃない? 戦ろうよ! ね!」
「えー……。仕方ないなぁ……」

何故か納得する猛禽類。その他、細かいルールを詰めた所こんな感じになった。言ってもそこそこのオッサン同士なのであんまり長い時間は無理だ。なので短期決戦。3レースのみの自腹対決とする。

「あしのさん、金額どうします?」
「5000円使い切りの一本勝負にしよう。3レース内の割り振り自由で」
「買わないのはナシにしましょうか。最低1点は買う」
「そうだね。買い方は……3連単オンリーにする?」
「いやーちょっと待った。1号艇が3連に絡まないの結構レアだと思うんで、オンリーはヤメません? そこはガチで獲りに行きましょう。2連単ありで」
「オケーオケー!」

以下、固まったルールがこちら。

【オカイvsあしの 1号艇禁止予想対決ルール】
・ボートレースびわこ「キリンカップ2021」にて実施。
・着順を問わず予想から1号艇を除外する。
・3レース、5000円勝負。各レースの金額・点数配分は自由。
・ただし「買わない」のは駄目。
・払い戻し金額からの購入は任意とする。

最後のルールは要するに「浮いた分は無理やり最後のレースに賭けなくてもいいです」という事だ。3レースでの合計購入金額が5000円になってればOK。別に買いたいなら買ってもいいけど、強制じゃないよ、ということだね。

「これ結局、勝ったらどうなるんですか?」
「どうしよう。酒おごるとかにする? でもコロナだしなぁ……」
「やっぱスタンダードに罰ゲームとかにしようか……」
「内容は?」
「相手にやらせたい事をそれぞれ決めようぜ。オイラ勝ったら岡井さん『ゲゲゲの女房』を全話観て感想書いてよ」
「死ぬほど時間かかるわ……! うわ絶対イヤだそれ……」
「大丈夫大丈夫……勝てばいいから……」
「てかこれふたりとも軍資金使い切って終わりそうな予感がビンビンするんですが……」

というわけで突如始まった特殊ルール対決シリーズ。今回の縛りは「1号艇禁止」だけど実際のデータはどうなんだろう。ボートレースびわこについて調べてみた。2020年版の『ボートレースファンノートブック』によると、びわこの1号艇1着率は52.3%との事。1位の大村が66.2%であることを考えると、実際にかなり低いことが分かる。

ただ今回は1着に入らないどころか「予想に絡めちゃ駄目」という非常に厳しいルールなので1号艇が「3~6着」あるいは「4~6着」に入る確率を求めて比較せねばならない。つまりびわこが「1号艇が1着にはなりづらいけど2着とか3着には死ぬほど来る」のであれば今回の説はそもそも根底から崩れる。というわけで実際に計算してみた。比較対象はこちらも大村をピック。

【1号艇3~6着率】
びわこ 32.4%
大村 22%

【1号艇4~6着率】
びわこ 19%
大村 13.2%

元々の1号艇1着率が違うんで当たり前だけど、やっぱ如実に違う。これらはそれぞれ1号艇が2連単に絡まない確率と3連単に絡まない確率である。当日はびわこで3レース買う予定なので、2連単なら1つくらい1号艇が絡まないレースがあっても良さそうな確率であるのが分かる。3連単はちょい厳しいかもしれんな。

んで、当日は「雨」の予報が出ておるのも忘れてはイカンところだ。雨が降ると単純に視界が悪くなるためスタートが難しくなりダッシュ勢が有利になるけど、びわこはさらに「水面が硬い淡水」であり選手が受ける波の影響も大きい。要するに天候の影響を受けやすい場なのである。従って、上記の確率は「もしちゃんと雨が降れば」もうちょっと上乗せされると思われる。

以上が「雨の日のびわこは外枠が強い説」の概論である。

これが果たして机上の空論なのか実際そうなのか、実際真剣に予想しながら検証してみよう。あとオイラの予想力の成長っぷりを披瀝する良い機会なので、ちょっくらガチでブチ当ててやろうと思う。

というわけで次週! 果たしてちゃんと1枠は3着以下になるのか! まずそこが問題だ! そもそも全部1でした、とかは勘弁だぜボートの神様……!

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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ボートのデザインについてまとめてみたら色々と面白かった件。