めおと舟 その114『1号艇禁止予想対決! オカイvsオイラ その2』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
夫婦揃っての趣味を持とうと始めたボートレース。2019年、2020年と連続でトータル収支マイナスを叩いた夫婦が次に目指すのは「2021年の収支をプラスにする事」。今年こそはと胸に誓いつつも、コロナ禍で巣ごもり状態の二人は他にやることもないまま、代わり映えの無い日常を送るのだった。

……というわけで9月21日火曜日。

編集長オカイとの予想バトルの日である。これまでの流れをざっくり解説すると、『ゲゲゲの女房』に今更ハマったオイラがそればっか書いた原稿をオカイさんに渡した所、なんやかんやあってボート予想バトルで決着を付ける事にした感じである。んで、普通に予想してもつまらんので今回はどういう買い方であっても「1号艇を絡めるのを禁止」した上で「5000円の使い切り」にした。

「……あのー、これ、無謀すぎませんか」
「……でもまあ、既に先週分載っけちまったしなぁ……」
「ほんとにやるんですか?」
「うん……」

予想対象に決めたのは「びわこ」の「キリンカップ2021」だ。1号艇を絡めない、という特殊ルールも「びわこはアウトが強い」という噂(?)の検証の意味合いがあったりするのだけども、その辺は前回参照だ。

「オカイさん、何レースにしよう」
「1がこなさそうなレース……。2.3.7.9.10レースあたりですかね……」

見た感じ、どう見ても1が絡みそうなレースが飛び石で存在しているようだった。ところどころあからさまにアウトに寄せた番組もあるにはあるのだけども、言ってもボートレースは「1が有利」であるという大前提の元にあるギャンブルだし、その前提の前には場の特徴すら、誤差の範囲であると言える。なんせ「びわこ」であったとて、1号艇が3連に絡む割合は81%もあるのだから。ここは「残り19%」が来そうな番組をチョイスせねばならない。

オイラが注目したのは4レース。これだ。

 

【9/21 びわこ キリンカップ2021 初日 4レース】

▲写真はボートレース公式サイトより

 

あからさまに外枠強し。石倉選手は5号艇のコース別3連対率が60%オーバー。スタートさえ決まれば荒らしてくれそうな気配がムンムンである。4号艇松本選手の平均STがあまり早くないのもポインツ。まくり差しをブチ決めるには4号艇の頭を抑えるのが大前提なので、これも好材料だ。

勝負所をココに据えて、オカイさんが挙げた2.3レースとあわせれば、連続で3レース予想ができる。うむ。これでいい。

「……したら、2.3.4でどう?」
「そうですね。わかりました。そしたら2レースから買いましょうか……」
「確認するけど、5000円ね。使い切りでよろしく!」
「すげーヤダなぁ。これ結局全部1絡みでカスりもしない未来しかみえませんが……」
「まあね! とりあえずあんまりお金無いんで当てよう!」
「なんでお金ないのにこのルールにしたんだよ……!」

というわけでまずは緒戦。第2レースの番組がこちら。

 

【9/21 びわこ キリンカップ2021 初日 2レース】

注目は4号艇益田選手。4号艇の3連対率は65%。ボートもかなりいいし、これはもう満場一致で軸にすべきだろう。1号艇は買えないゆえ、あとはもう消去法の方が早い。形としてはたぶん2号差しになるんだろうけど、その場合はもう2号艇がカパっと開いた形であるのが前提になる。4-1買いたい所だけどルール上不可ゆえ、ここは1と2を除外で買うことにする。

「よし決めた」
「わたしも決めました」
「せーの……!」

【あしのの予想】
4-356-356 6点 200円

【オカイの予想】
234ボックス 6点 100円

「なるほどね……。ボックス行ったか……」
「あしのさん外枠固めすぎでしょ。当てる気ないですよね」
「大丈夫。当てれば万舟!」
「無理過ぎる……!」
「さあ、レース見るぞ!」
「あー、全く当たる気しない……。ほんとヤダなこれ……」

各艇一斉にピットアウト。進入は枠なりだ。

「てか今思い出したけど、晴れてるな」
「晴れてますね」
「これ雨降る前提で1号艇除外ルールにしたんだけども」
「始まる前から予想ハズしてるじゃないですか」

大時計の針にあわせ、全艇一斉に見えないスタートラインを目指す。……5号艇木田選手が明らかに遅い。すわ大まくりのチャンス! と言わんばかりに6号艇関口選手が船体を左に寄せる。

「!!」
「!!」

スタートの段階で、すでに6号艇が5号艇の頭を抑え、舳先を4号艇に向けるという理想的なマクリの形が出来ていた。4号艇益田選手は差しに構える予想だったんでここでちょっと引いた所にいれば自然と3号艇と6号艇がやり合う形になり、何か色々決まりそうな感じだったけども、4号艇いっぽも引かず。ターンマーク前で3号艇と6号艇の船体に挟まれ浮かされるという展開なった。

「関口選手マジかよ……。ああ……おわた……」
「ちょっと、結局1着は1号艇じゃないですか……」
「いやーいまの……行ってたよなぁケンカしなかったら……」
「いやー、あれだけ5号艇が遅れてたら勝負駆けますよねぇ。仕方ない」
「理想的な荒れ方だったんだけどなぁ……惜しい」

結果!

「あしのさん、あしのさん……。順位見ると惜しくも無いですよ」
「いやもう酷いよね。オイラが外してる1と2がワンツーフィニッシュだからね。結果カスってもいないからね」
「うわーしかもこれ1-2-6で77倍ですって。なんだこれ……」
「本命浮いてたからねぇ。ポヨンって。挟まれて。浮いてたもんなぁ……」
「使いたくねぇなあこのルールでお金……!」

 

【9/21 びわこ キリンカップ2021 初日 3レース】

これも中盤に強い選手が固まってる。1号艇がこないことを前提に考えると、もうこれは郷原選手に賭けるしかない。そもそも1号艇こない時点で何らかのアクシデンツが起きてるハズであり、不思議な力で中盤がグイグイくる展開になってることだろう(希望的観測)。

「これは野間選手こに持ってくかだよなぁ……」
「たしかに……」
「オイラ野間選手のビジュアルが好きでよく買うんだけど……。今回はちょっと外すかなぁ……」
「よし、わたし決めました」
「オッケー。じゃあオイラも……」

【あしのの予想】
2=3=4 1点 300円
3=4=5 1点 500円

【オカイの予想】
3=4-全(1除外) 6点 2300円の配分。

レース開始。進入は枠なり。トップスピードの段階で3号艇郷原選手の船体が軽くホップする。結果、スタート時の隊形はわずかに3号艇のみ遅れる形となった。郷原選手はマクリに構えるもマクリきれず。さらに4号艇廣瀬選手は差しに構えたが差し切れず。ターンマークを越えた時点での順位は1-2-4-3となった。

オカイが吠える。

「やっぱ無理じゃないかこのルール……」
「ごめん何か。いやホント……。なんでこのルールにしたんやろ……」
「あーもーほら、1-2-3になったこれ……!」
「いやぁ、なんかもう申し訳ないわ……。無理だなこのルール。やめよう」
「言い出しっぺが一番折れとるやないか……!」

結果、レース中盤からは特に事件もなく当たり前に1-2-3にて決着。ただしド鉄板というわけではなく、猪木(123)にも関わらず12番人気36倍であった。

「これ1買えてたらオイラ買ってたもんなぁ……」
「わたしも買ってましたよコレ。むしろ1-2-3買ってました」
「あー……。まだあんのか……あと1レース」
「むしろ使い切りですよ。わたしまだ2100円残ってます」
「オイラ3000円も残ってるわ……」

しかし! 次のレースはまさしく本日のど本命。1が来ない縛りのルールでは最有力な4レースだ。

 

【9/21 びわこ キリンカップ2021 初日 4レース】

「うーし……。これは当てるぜ……。なあオカイさん」
「万舟狙いましょう」
「な。一気に取り返してさ。焼き肉食いにいこうよ」
「あ、そういえば罰ゲームどうします? わたし『ゲゲゲの女房』を全部見てるヒマなんか無いんですが」
「……なんかもう、このルールでやってる時点でまあまあ罰ゲームだし。もういいんじゃないかな。目の前の試合に集中しようぜ」
「賛成R&D!」

さてこのレースは前述の如く5号艇石倉選手全力だ。んでもうマクリ差す前提であれば4はない。6号艇はどフリーで舞うことができるんで5-6-全か5-全-6。マクリ刺しが失敗した場合は差しの部分で3号艇に阻まれるとして3-5-全か3-全-5。1も買いたい所だけどこれはもう駄目なので……。

「よし決めた! これは当たる!」
「アウトにかけろ! わたしもいいですよ!」

【あしのの予想】
356ボックス 3000円分配

【オカイの予想】
5-2346 
6-345 各300円

オカイ予想は当たればどれでも1万5千円ほどのバック。あしの予想は当たればどれでも4万円ほどになる。要するにエディーマーフィーもびっくりの大逆転だ。

「うっしゃー……。見えたぜこれェ……」
「これは当たりますね」
「どんどん当たる気がしてきたわ……。ねぇこれ二人とも当たる可能性充分あるから、そしたらもう、ゴタンダキチに銅像建てよう?」
「安い銅像屋さん探さなきゃ……!」

そしてレース開始。果たして「びわこはアウトが強い」説は本当なのか。そして1号艇除外ルールの予想は果たして企画として成立するのか……! いま運命のファンファーレが響くッ……!

結果!

「……はい解散!」
「全部1絡みじゃねーか!」
「無理だこれ。1買おうやっぱ。びわこといえど1買おう。ちゃんと。無理だよ」
「わたしは最初ッから言ってましたからねそういう風に」

ちなみにこの日の全レース結果がこちら。

「ほとんど1絡み……!」
「絡んでないの9レースだけだったね。7万舟だって」
「事故みたいなもんですね……」
「てかびわこですら半分以上1が頭なんだなぁ」
「ボートの鉄則ですよ……」
「なんかすいませんほんと……無理やり巻き込んだ感じで……」
「ほんとですよ……。あーもーこれジャグラー打てばよかった。……ジャグラー打ってきます!」
「ああ……。行ってらっしゃい。光るといいね……」

クエーッと鳴きながらホールの方へ飛んでいく怪鳥オカイ。その背中を見ながらオイラは思った。ボートレースの予想は、変な縛りを設けると金銭に直接ダメージが来るんでヤメたほうがいい。そして企画とは言えそういうのに人を巻き込むと、めっちゃ申し訳なくなるので、よした方がいいな……と。

……はい今回は以上。

とりあえず実際「1除外ルール」でやってみたけども、これやってみて逆説的に1号艇の大切さというのが身にしみた。普段ボートやってると「おいおい1絡まねぇのかよ」みたいなのがちょいちょいあるように思えるけど、これ確証バイアスみたいな心理傾向みたい。実際あんま無いッス。絡めよう1。カルボナーラの如くグリグリ絡めよう。

そういう意味では勉強になった対決でした。

というわけで、次の機会があったら別のルールで誰かを餌食にしたいと思います。怯えて眠れナナテイ執筆陣よ……。へへ。

(挿絵:武尊)

 

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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