めおと舟 その117『久しぶりにちゃんと勝った!』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
夫婦揃っての趣味を持とうと始めたボートレース。2019年、2020年と連続でトータル収支マイナスを叩いた夫婦が次に目指すのは「2021年の収支をプラスにする事」。今年こそはと胸に誓いつつも、コロナ禍で巣ごもり状態の二人は他にやることもないまま、代わり映えの無い日常を送るのだった。

オッズゲームに慣れてないのもあるけども、自分の中での「買う手法」みたいなのがコロコロ変わってる。動画とかで上手い人のを観たりするとすぐ影響されちゃうのもあるんだが、単純にまだ学びの段階だからだろう。

パチンコとかパチスロのほうは、もう何年も同じような視点で台を選んで同じような金額を設定して投資して打ってるので、あんま代わり映えはしない。足踏みだ。うわーオイラ上手くなったなーみたいな感動とは久しく無縁なり。

一方でボートに関してはまず1レースごとの投資金額からしてふわふわしとる。んでこれ「金持ちはたくさん入れる」というのもちょっと違う。なんせボートにおける投資金額って「買いの点数」にも影響を与えるわけで。そこが増えれば増えるほどトリガミの危険が出てくる。単純にめっちゃお金いれて広く買えば勝てる! という話じゃないのである。あたりまえだけどね。

んでオイラはこの点を結構重視してて、買いの点数を極力少なくすることを標榜してるのである。多くても6点。めっちゃ悩んでも8点とか。それで2年以上やってて成果が出ないんだから、そろそろ別のやり方を試す頃合いだ。

「……ちょっとオイラ、今回はめっちゃ広く買ってみようと思う」
「えー……大丈夫なのそれ」
「いつも6点とか8点で買ってるじゃん?」
「うん」
「それを12点とか18点とかにしてさ」
「うわー……絶対ガミるよぅ……」
「だから今回は『資金分配』を活用する!」

資金分配。これ今までそんなに広く買ってなかったのでたまにしか使わなかったんだけども、1レースでたくさん買った時に、払い戻しがなるべく平たくなるように自動的に資金を分配してくれる買い方だ。12点とかで予想した時ガミりそうなのが複数あっても、例えば購入金額3,000円で分配とかにしとけばいい感じにしてくれる。問題点としては「購入金額自体はでかくなる」ので外した時のリスクが大きくなる事だけ。それはそれで大問題なんだけどね。

で、資金分配を利用しながら広く買うのって、どういうレースに効果的なんだろう。

広く買う以上は「当てにいく」のが絶対条件ゆえ、買い目が比較的ハッキリしとるレースが良いと思う。その上で両面待ちというか、裏表の予想みたいなのがあって買い目がバラける場合。あと資金分配するにせよガミとの戦いになるのは絶対なので、ある程度オッズが付くレース……例えば6頭にワンチャンあるけど本命も押さえたい! みたいなレースが良いと思われる。

「ンー……。じゃあ、これとかどうだろう」
「どれどれ……蒲郡ね……」

【10/12 蒲郡 準優6R制DMM.com杯争奪ボートガマー代カップ 3R】

▲画像はボートレース公式サイトから

「これだと1と6、両方を軸にして良くない?」
「あー、今回は1と6が両方本命なんだ……」
「そう。そのための分配よ。本命も狙いつつ、6号艇もカバー……」
「どれ買うの?」
「まず1号艇服部選手からだと、1-236-236だろ?」
「うん……」
「で、6号艇北中選手だったら、6-123-123とか?」
「安直!」
「これで12点か……」
「ひろし、これ1頭からの場合は6外してもいいんじゃない?」
「あー……。なるほど。もう、トップ取るか全然駄目か、みたいな?」
「うん。マクリにいって駄目ならもう2着3着からも外していい気がする。そしたら点数減らせるし。しかも1-6ってあんまり来そうじゃないのに地味に一番人気じゃない。分配のお金だいぶ持ってかれるわよ」
「確かに。そうか……そういう考え方もあるか」

たしかに。分配すればガミの危険が減るけども、その分高オッズで当たった時の購入金額も減るので美味しさが激減する。だったらもう、本命をやや絞り気味にして、裏を多めにしてもいいかも。今回の場合1-6のオッズは1-2とほぼ同等。リスクとリターンのバランス考えたら外してもいいかもしれない。

「よし、わかった。じゃあそうしようか」
「うん、何点になる?」
「……8点だね。分配してみよう!」
「幾ら入れるの?」
「3000円!」
「入れすぎ!」

そして分配の結果、やっぱりオッズが低い「1-2-3」「1-3-2」「6-1-2」「6-1-3」に資金が吸われて他の所にあまりまわらないという事が分かった次第。試行錯誤の結果、一旦6頭のみで3000円の資金を分配した上で、手動で1頭の2つに利益が出るよう調整。

【あしのの予想】
1-2-3 400円
1-3-2 300円
6-1-2 500円
6-1-3 600円
6-2-1 300円
6-2-3 300円
6-3-1 300円
6-3-2 300円

「こんな感じか」
「あら、一番人気は6-1-3なんだ……!」
「いや、そういうわけじゃなくて、これちょっといじったんだよね。6-1-3が27倍、1-2-3が12倍くらい。6頭が来た時にドカっといくようにして、1頭はちょっと利益でる感じ」
「なるほど……」
「今回は6が頭でも万舟じゃないから、こうしないとほんとに平たくてさ」
「まあでもどれが来てもガミはないんでしょ?」
「ないね。余裕で利益出る」
「よし、じゃあこれでいいね!」
「おう!」

レーススタート。進入は123/465。抜群のスタートを切ったのは6号艇北中選手だ。しかも4号艇が凹むという理想的な大まくり展開。第一ターンマークを回った時点での順位は6-2-3-1。ドンピシャである。

「うわもう完璧。超安心じゃんこれ」
「6-2-3と6-2-3どっちがオッズ高いの?」
「ほぼ変わらないね! 強いて言えば6-2-3がちょっとだけ高いけど」
「いくつ?」
「まあまあ……まあまあまあ……」
「いくつよ!」
「へへ……」

レースはそのまま危なげなく進行。見えないゴールラインを通過したのは6-2-3の順番だった。結果……!

「ウッヒョー! 79.8倍!」
「ウッソ! 300円入れてたわよね」
「入れてたね! 23,940円!」
「うわ! これは焼き肉!」
「な! てかこれはレースが良かった! てかちゃんと6がマクリ切るの気持ちええなぁ」
「いやー、久々に取ってない? 6頭」
「な。これはよかった……」

【10/12 津 日刊スポーツちどり杯争奪戦 12R】

「え、まだやんの?」
「やるでしょう! 2万以上浮いてんだぜ! 全部ブチ込むわ!」
「だめー! 全部は駄目!」
「いやだ! 全部!」
「全部はやめてぇ!」

個人的には1を頭にして1-2356-2356の12点に23,000円全部入れちゃう予定だったのだけど、はるちゃんがどうしてもやめろというので倍プッシュの6,000円で勘弁したった。ただ、例によってまとめて分配すると1頭に資金を吸われるゆえ、極端にオッズが低い1-2絡みを手動でガミらない程度にやや減らし、夢いっぱいの1-5・1-6あたりに割り振る。微調整だ。

【あしのの予想】
1-2-3 1100円
1-2-5 1100円
1-2-6 300円
1-3-2 400円
1-3-5 800円
1-3-6 500円
1-5-2 400円
1-5-3 800円
1-5-6 600円
1-6-2 200円
1-6-3 100円
1-6-5 100円

こんな感じ。コンピューター任せにすると1-2-3に2000円近くぶちこまれてたので調整した。他にも2絡みはやや減らして5と6絡みに振り分けてるけど、とりあえず計算上はこれでもガミらないはず。調整しまくったせいで時間が結構ギリギリになってしまった。

「これさ、配分したあといじったら配分の意味なくない?」
「そうなんだけどね……。でもほら、せっかく時間あるしさ。どれがきても大体同じ!っていうより、振り分けたいじゃんねその中でも」
「まあ、わからなくもないけども……」

ピットアウト。進入は枠なり3対3。スタートと共に2号艇里岡選手がマクリにかまえるも、1号艇選手が上手くいなして先に舞う。差しに構えた5号艇秋山選手が隙間を縫うように2位に浮上する。

「うまい! 2号艇ハマってくれた!」
「うわ、1-5-4-6か……!」
「6号艇平田選手。頑張って! マジでこれアツイよ!」

3号艇も微妙に上がってきてバックストレッチの3着争いは346の3艇。ターンマーク側のポジションは6号艇平山選手だが、舳先は4号艇が先に出てる。3号艇も突っ張る。どうなる! と思ったら、一周目第二ターンマークでやや膨らんだ4号艇と全力でターンしてきた2号艇が軽く接触。3着6号艇の後ろが2艇身ほど空いた。

「おお……これ、1-5-6で決まりじゃね?」
「まだわからない……まだわからないよひろし……」

言いながら焼肉屋の営業時間を調べ始めるはるちゃん。ステーイ……ステーイ……つぶやきながら画面を眺めていると、6号艇の後ろの艇身は3周目で5つくらいにまで広がっていた。大勢は決した。もう大丈夫。大丈夫だこれ……。

 

「おお……取ったわこれ……。65倍……」
「え、いくら入れてたっけ」
「あー! 600円……! もっと入れてたと思ったのに……!」
「なんで2万円全部入れとかなかったの!」
「はるちゃんが止めたんでしょうが!」

「うわー……5万以上買った……」
「珍しい!」
「マジで珍しいは。てか一日の終始としては歴代レコードじゃないこれ」
「おめでとう!」
「ありがとう……! てかやっぱ広く買うのいいな……。今回いつもの6点買いだったら多分6外してたもんなー……」
「(あ、もしもし……はるちゃんですけど……ひろしがボートで沢山勝ったので、19時から予約したいんですが……)」
「もう焼き肉予約してる……」

10月某日。奇しくもあしの家結婚5周年記念の翌日。生涯初の5万円以上のプラスが出た日になりましたとさ。

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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