めおと舟 その121『ボートレースゲームはなぜあまり無いのか』

連載
めおと舟

前回までのあらすじ──。
夫婦揃っての趣味を持とうと始めたボートレース。2019年、2020年と連続でトータル収支マイナスを叩いた夫婦が次に目指すのは「2021年の収支をプラスにする事」。今年こそはと胸に誓いつつも、コロナ禍で巣ごもり状態の二人は他にやることもないまま、代わり映えの無い日常を送るのだった。

オイラ、競馬は全然やらんのだけど、一時期「ダビスタ」にはハマっておった。アスキーの競走馬育成シミュレーションである「ダービースタリオン」の事である。当時「ファミ通」を読んでいた人はだいたいやってたと思うけども、オイラもご多分にもれず。誌面での盛り上がりに後押しされる形で購入しガッツリハマったのが懐かしく思い出される。

当時は馬券を買える年齢じゃなかったのだけど、ダビスタ好きが高じてナリタブライアンのファンになり、日本ダービーの中継を録画して何回も見たりしてたもんだった。その後ダビスタ熱は格ゲー熱の高まりとともに収束を迎え、それ以降は競馬との接点が無い人生を送っておる。今住んでるところなんて目と鼻の先に「ウインズ」があるにも関わらず、ほぼ入ったこともない。

さて、競馬といえば「ウマ娘」が流行っておる。オイラもリリースからしばらくはやってた。どんなゲームかしらん人のために説明すると、「パワプロ」と「ダビスタ」を組み合わせたゲームと言えば、分かる人には分かるだろう。ストーリーパートでキャラを育成する系のやつだ。特徴となってるのは「女体化」した名馬たちによるレースの映像美。しっぽ生えた女の子がスマホ上でぬるぬると全力疾走しつつ、一進一退のレースを繰り広げるのだ。これはすげーインパクトがあるので一回は実際に体験して見たほうが良い。

「ウイニングポスト」「ギャロップレーサー」「スターホース」、「ファミリージョッキー」や「ソリティ馬」なんて変わり種もあったけど、とにかく競馬というのは何気にこの世界に沢山のゲームタイトルが出ておる。

一方で他の公営競技はどうだろう。

チャリもそうだけどオートも、そしてボートも、あんまりゲーム化の話は聞かない。ボートに関してはPS2の「モンキーターンV」が微妙に有名だけども、ヒットしたのかというとそんな事はなく。知らん人すら多いと思われる。

競馬はガンガンゲーム化されるのに、なんでボートその他はダメなのか。

簡単である。ボートレースは単純にゲーム化しずらい。その出自上どうしても18歳以上が興味を持つジャンルだけども、その層が興味を持つであろうジャンルのゲームとして成立させずらいのだ。馬に関してはこれが実に簡単で、例えば「血統」と「競走馬寿命」の概念が「シミュレーション」というジャンルとすこぶるナイスマッチしておる。その2つさえ揃えば馬じゃなくても面白いゲームになるのは、すでにマーズの桝田省治さんが「俺の屍を越えてゆけ」で実証済みである。

「ウマ娘」に関してはそれにプラスして「競走馬のドラマ」をブチ込んでおり、しかもその「ドラマ」を見せるのに適したパワプロ式(ときメモ式)の、アドベンチャーパートでの育成システムを採用してる。相性ベストマッチである。狙って面白いモンを作ってる感じがバリバリ。かなりテクニカルな作品だ。「競馬」をゲーム化するのに必要な要素はピンポイントで全部ブチ込まれてる。

翻ってボートは「血統」は関係ないし「選手寿命」もすげー長い。選手サイドに寄った見せ方ではターン性のシミュレーションとして成立しない。ギリギリで考えられるのはKOEIが「太閤立志伝」でやったようなRPGとシミュレーションのミックスジャンルだけど、面白いもんになるかというと超微妙だと思う。だからこそ「モンキーターンV」を始めとするボートゲームは全て「レースゲーム」の方向に舵を切っとるのだね。

ただまあ、「ボートレースファン」は選手同士の駆け引きであるとかテクニックを「眺めたい」のであって、自分で操作したいわけじゃない。ここに齟齬があるのは明白だ。ボートレースファンも買わないし、ボートレースファン以外への訴求力も怪しい。んでそこでセガの「スターボート(※2021年2月サービス終了)」というメダルゲームについても言及するけど、これは「スターホース」のボート版だ。だので選手の育成に振り切ったシステムになっている。モンキーターンの波多野選手なんかもゲスト出演するのでボートファンは一度くらい遊んだことがあるかもしれんが、これは飽く迄もメダルの増減という明確なゲインありきのシステムになっており、コンシューマでこれやっても多分すぐ飽きると思われる。

面白いボートレースゲーム……。

実はオイラたまーにゲーム制作の協力業務(原案とテキスト提供)もやってるんだけども、例えば仕事として「ボートレース」を題材にした面白いシミュレーションゲームを考えろ! と言われたら、恐らく「レース場」を主眼にした「栄冠は君に」と「信長の野望」をミックスさせたようなターン制のシミュレーションゲームを提案するだろう。全レーサーを実名で登録、かつ能力をパラメーター化。全国のボートレース場から拠点を一つ選択し、そこを本拠地とする選手をひとつの「チーム」として育成。毎年出てくる新人選手(オリジナルキャラ)を獲得・育成しつつ各地の重賞レースで勝ち星をあげさせ、場の人気を上げて売上を管理。それを設備に投資して最終的に全SGの誘致を目指したり、オリジナルレースである「SGエンペラー杯」みたいなレースでの優勝を目指したり、親子3代にわたってのダービー優勝を目指したり。いろんな遊び方ができる系の。もちろんレースは眺めとくだけ。重賞以外はスキップもできちゃう。

うおおウチの「水面カケルくん(オリキャラ)」が峰選手に勝ったぞ! なんてこったその妹の「水面ヨシ子ちゃん」がテレビ出演で知名度爆上がりだ! さらに長年の引き抜き工作が功を奏して毒島選手が移籍してきた! これにてボートレース大村の時代来たる! みたいな。そういう遊びができたら多分楽しい。

題して「大村の野望は君に」。

これこそボートレースじゃなくても全然成立するやんけというのはナシで。でもこれ実際にあったら絶対遊んでみたい。やっぱ18歳以上の……というかオッサンって反射神経が衰えておる代わりにパラメーターいじるの好きなんよ。ズラーッと並んでる数字をちまちま操作して試行錯誤するの好き。全選手のパラメータ一覧とか超眺めたいし。これはどっか作ってくれんかな……。

(挿絵:武尊)

著者プロフィール画像
あしの

浅草在住。猫とホラー映画とパチスロを愛する39歳。パチ7にて『インタビューウィズスロッター』連載中。『5スロで稼げるか?』(www.5suro.com/blog)の中の人。ボートレースはからっきし初学者ですが、自分自身で楽しみながらその面白さをお伝えしていきたいと思います。

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